ADVERTISEMENT

『教場』林遣都が圧巻!中江監督を「カメレオン俳優」と驚かせた熱演

『教場 Requiem』より
『教場 Requiem』より - (C) フジテレビジョン (C) 長岡弘樹/小学館

 木村拓哉主演の映画『教場 Requiem』(公開中)で、シリーズを通してメガホンをとる中江功監督が、本作における最大の「驚き」として挙げたのが林遣都の存在だ。かつて警察学校を去った男がなぜ再び姿を現したのか。そして、木村拓哉という絶対的な存在と対峙した現場で何が起きたのか。中江監督が“カメレオン俳優”と言い切った林のすごさを語った(※一部ネタばれあり)。

【画像】「教場」SPドラマの平田

評価を一変させた林遣都のひと言

 フジテレビ開局60周年特別企画として制作されたSPドラマ「教場」(2020)から始まったシリーズの集大成となる映画版の後編『教場 Requiem』。Netflixで配信中の前編『教場 Reunion』に続く本作で、ひときわ異彩を放つ存在がある。かつてテレビシリーズで風間の教え子として登場し、ある事件を引き起こし警察学校を去っていった平田和道を演じる林遣都だ。

ADVERTISEMENT

 中江監督は、これまでに数々の名優をカメラに収めてきたが、今作における林の芝居には、演出家としての想定を軽々と飛び越えてくる瞬間があったという。しかし、シリーズの原点である第1作の制作当時に遡ると、監督が林に抱いていた関心は、脚本を担当する君塚良一の熱量とは対照的なものだった。

 「林さんの演技は予想以上でした。もちろん“やってくれるだろう”とは聞いていましたし、期待もしていましたが、想像を超えてきました。そもそも脚本の君塚(良一)さんが彼のことが好きで、“林遣都くんは面白いよ”と強く推薦してくださったんです」

 脚本家からの熱烈なオファー。それが林がこのシリーズに参加するきっかけだった。当時、監督自身は林に対してどのようなビジョンを持っていたのか。撮影が始まる前の率直な心境、それは今の評価からは想像もつかないほど「フラット」なものだったと振り返る。

 「実はパート1(SPドラマ第1作)の時、初めて林遣都さんと仕事をしたのですが、正直なところ、そこまで彼に対して深い興味を持っていなかったんです。初めての人に慎重なので。君塚さんが“面白い”とおっしゃるので、“本当ですか?”と半信半疑でスタートしたのが最初でした」

ADVERTISEMENT

 端正なルックスを持つ林に対し、監督が抱いていたのは、ある種の「綺麗すぎる」という懸念だったのかもしれない。泥臭く、人間の業が渦巻く「教場」の世界観。しかも、物語の序盤で脱落していく重要な役どころを本当に担えるのか。ファーストインプレッションでの迷いを、監督はこう語る。

 「最初に警察学校を辞めていく生徒でしたからね。パッと見た印象がイケメンの好青年だったので、“彼にこの役ができるのか?”という思いが正直ありました」

 しかし、現場での「あるテスト」がすべてを変えた。工藤阿須加演じる宮坂定の部屋を訪れるシーンのリハーサルでのことだ。監督が林の中に潜む「何か」を引きずり出そうと、あえて枠を外すような指示を投げかけた瞬間、優等生のような仮面が剥がれ落ちた。

 「最後に彼が工藤くんの部屋に行くシーンの撮影で、本人に“もっと好きに変なことをやってもいいよ”と伝えたんです。すると彼は“いいんですか?”と目を輝かせて。実際に演じてもらったら、これがすごく面白かった。“林遣都は面白いな”と、そこで認識が変わりました」

~以下、一部映画のネタバレを含みます~

月9ドラマと同時並行で見せた「カメレオン」の真価

 かつて一度だけの共演で強烈な爪痕を残した男。今回の映画版を制作するにあたり、風間公親の前に立ちはだかる「異物」として、誰を呼び戻すべきか。制作陣の間で議論が交わされた際、その答えが出るのに時間はかからなかった。

 「今回、映画を作るにあたって、物語に介入してくる第三者の存在が必要だという話になりました。そこで“それなら最初に辞めていった彼しかいないだろう”と意見が一致したんです」

ADVERTISEMENT

 一度は去った現場への帰還。しかも、シリーズの集大成となる映画版へのオファーだ。連絡を受けた林は、プレッシャーを感じるよりも先に、役者としての純粋な喜びを爆発させたという。

 「オファーを出したところ、本人は大喜びでした。“そこまで喜ぶとは……”と思うくらい、“いいんですか? また呼んでいただけるなんて”と、ものすごく張り切っていました」

 撮影当時、林は物理的にも精神的にも過酷な状況に置かれていた。本作の撮影と同時進行で、全くトーンの異なるハートフルなドラマの撮影が行われていたのだ。

 「ちょうど撮影時期が、向かいのスタジオで撮っていた月9ドラマ(『明日はもっと、いい日になる』)と重なっていたんです。あちらでは子供たちの話を描く作品で好青年を演じているのに、こちらに来るとガラッと変わる。同時期に全く違う役を演じ分ける姿を見て、“本当にカメレオン俳優だな”と感心しました」

木村拓哉の覇気に「セリフが飛んだ」リアルな反応

 圧巻だったのは、風間公親との対峙シーンだ。木村が纏う圧倒的なオーラと、すべてを見透かす義眼の視線。それを前にした時、小手先の演技プランなど通用しない。林の肉体は、役者としての制御を超えた、あまりにも生々しい生理反応を示してしまったという。

 「本人も演じながら相当なプレッシャーを感じていたようで、前編の撮影で木村さんと対峙した際、“目が合ったら、怖くてセリフが飛びかけました”と。そのあたりのリアリティが映像にも表れていて面白いですよね」

ADVERTISEMENT

 睨まれた瞬間、人間はどう動くのか。正面から受け止めることもできず、かといって逃げ出すこともできない。その極限状態で林が選択した「視線の泳がせ方」に、このキャラクターの卑小さと人間臭さが凝縮されていた。中江監督はそのディテールを見逃さなかった。

 「弱さゆえの反応と言いますか、後編でも、自分から声をかけておきながら、風間教官に睨まれると視線を逸らして他の人に振る、という芝居になっているのが本当に秀逸でした。あれは林遣都さんにしかできない表現だと思います。とても面白い役になりました」

 その唯一無二の存在感には、妻であり、かつて同じ教場で時を過ごした大島優子も仲間として、そして一人の役者として賛辞を送っていた。「大島優子さんも喜んでいました。“ああいう芝居は彼にしかできないですよね”って。まるでベテランのマネージャーのような口ぶりで感心していましたよ」と裏話を披露した。

 かつて「イケメンの好青年」という印象を持っていた中江監督を唸らせ、ついには「カメレオン俳優」と言わしめた林遣都。木村拓哉という巨星との緊張感あふれる化学反応も含め、映画『教場 Requiem』で見せる林の怪演は、観る者の心に深く爪痕を残すことになりそうだ。(取材・文:磯部正和)

映画館で上映中の最新映画がお得に楽しめるキャンペーン実施中!|U-NEXT

※このリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、リンク先での会員登録や購入などでの収益化を行う場合があります。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT