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伊藤計劃「虐殺器官」実写映画化、今も企画中 パク・チャヌク監督認める「概要は執筆済み」

来日したパク・チャヌク監督
来日したパク・チャヌク監督 - Photo by GION

 イ・ビョンホン主演最新作『しあわせな選択』(3月6日全国公開)を引っ提げ来日した韓国の鬼才パク・チャヌク監督がインタビューに応じ、かねてより報道されている伊藤計劃のSF小説「虐殺器官」の実写映画化企画について、進捗を明かした。

【画像】制作会社破綻から復活!アニメ映画版『虐殺器官』

 2007年に早川書房より発行された「虐殺器官」は、34歳という若さでこの世を去った伊藤のデビュー作品。アメリカ軍の特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードと、開発途上国で頻発する内戦や虐殺の陰で暗躍する背後に存在する謎の人物の姿を描くSFアクションで、ジャンルを超越する内容と緻密に設定されたディテールが評判を呼び、“ゼロ年代最高のフィクション”とも称えられた。

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 パク監督による実写映画化は、2016年に海外メディアで報じられた。『ハムナプトラ』シリーズのショーン・ダニエルがプロデューサーに就任したとも言われていたが、それ以降プロジェクトは音沙汰なしの状態が続いている。

 実写化企画は頓挫してしまったのか。チャヌク監督に問いただすと「今もそのお話は進行中です」と企画自体は生きていると認める。「もちろん、準備はまだできていない状況なので、次回作ではありません。ですが、いつか撮りたいと思っています」

 企画の進行状況については「脚本作業までは至っていませんが、今、長いトリートメント(※物語の概要)を書いたところです」とパク監督。「科学技術が発達したため、AIやロボットが世の中に普及し、戦争や世論の操作のために使われたりもしています。原作が出た頃とは全く違った状況になっているので、今の時代に合わせて何かできないだろうかと研究しているところです」と現代のテクノロジーを作品に反映させるため、試行錯誤を重ねていることを明かした。

最新作『しあわせな選択』でのイ・ビョンホン - (C) 2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED.

 最新作『しあわせな選択』は、25年間勤め上げた会社を突然解雇された主人公・マンス(イ・ビョンホン)が、再就職を懸けて「ライバルを排除する」という衝撃のアイデアを思いつくことから始まるサスペンススリラー。原作は、アメリカン・ミステリーの巨匠ドナルド・E・ウェストレイクが2001年に発表した「斧」だ。

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 パク監督はもともと、同作を原作の舞台であるアメリカで製作しようと企画していた。20年以上前から温めていた映画化は、当初『アパートの鍵貸します』『おかしな二人』などで知られオスカー俳優ジャック・レモンの起用も検討されていたという。

 「主人公を東洋人もしくは白人に任せるのか、当初は幅広く考えていました。アメリカ側の意見は、もし東洋人が演じるとなると、人種的な葛藤という部分が浮き彫りにされてしまい、別の場所に話題が集中してしまうというものでした。そうなると、作品のフォーカスが別の方向に向いてしまうという危険性があったので、アメリカで製作するのであれば白人の俳優を起用しようということになりました」

 紆余曲折を経て、韓国で製作されることになった同作。ジャック・レモンに代わる主演として白羽の矢が立ったのは、長編映画では25年ぶりのタッグとなるイ・ビョンホンだった。「韓国のジャック・レモンは誰かと考えた時に、真っ先に浮かんだのがイ・ビョンホンさんでした」とチャヌク監督は起用の経緯を振り返る。

 「オムニバス映画『美しい夜、残酷な朝』を一緒に作った際、次に長編を撮ろうと約束していたんです。その約束を守るという意味もありました」とも続けたパク監督。イ・ビョンホンと彼が演じたマンスには共通点も多かったといい、「年齢もピッタリですし、実生活でも息子さんと娘さんのお父さんです。また、マンスは下手すると全く同情の余地のない、連続殺人犯になってしまう人物ですが、時々見せる憐れみだったり、共感したりしてもらえるキャラクターである必要がありました。イ・ビョンホンさんは説得力のある演技で、観客にそういった面も見せることができる俳優さんです。そういった能力を持つ方にお願いすることができてよかったです」と笑顔を見せていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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