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菅田将暉、ボクサー役で水抜きの壮絶役づくり ボクシング指導・松浦慎一郎が語る

映画『人はなぜラブレターを書くのか』より菅田将暉演じる川嶋勝重
映画『人はなぜラブレターを書くのか』より菅田将暉演じる川嶋勝重 - (C) 2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会

 俳優の菅田将暉が、綾瀬はるか主演の映画『人はなぜラブレターを書くのか』(公開中)で元WBC世界スーパーフライ級チャンピオン・川嶋勝重を演じている。ボクサーを演じるのは、2017年公開の映画『あゝ、荒野』以来2度目。同作でも組んだボクシング・トレーナーで俳優の松浦慎一郎がボクシング指導を務めた。実在のボクサーを演じるにあたってクランクインの8か月前からトレーニングに挑み、最終的に水抜きまで行ったという菅田の撮影の裏側を、松浦が語った。

【画像】菅田将暉&細田佳央太のボクシングシーン

 本作は、2000年3月に起きた地下鉄脱線事故で17歳の若さで亡くなった青年ボクサーの家族のもとへ、20年以上の時を経て届いた一人の女性のラブレターをめぐる実話に基づく物語。菅田演じる川嶋は、青年ボクサー・信介(細田佳央太)と同じボクシングジムで親交を深め、強い絆で結ばれていく役どころだ。

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 これまで映画『BLUE/ブルー』(2021)、『ケイコ 目を澄ませて』(2022)、『春に散る』(2023)など数々の作品でボクシング指導として参加してきた松浦だが、実在のボクサーを演じるキャストの指導にあたるのは初めてのこと。一方、菅田は『あゝ、荒野』でボクサーにふんし、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞をはじめその年の映画賞の主演男優賞を総なめにする高い評価を得たが、今回は世界チャンピオンになる素質を持つボクサー役。しかも、ボクシング界では“伝説”とされる、2004年6月28日に行われた川嶋VSWBC世界スーパーフライ級王者・徳山昌守の試合を再現するとあって、菅田にとっても松浦にとっても責任は大きかったという。

 「撮影の前に菅田君から一度連絡があって。菅田君は『あゝ、荒野』でボクシングの大変さを知っているので“30代になってできるのか”“またあの時まで追い込めるだろうか”とおっしゃって。今度は世界チャンピオンの役で、しかも再現するのはあの伝説の試合。やるんだったらすぐに取り掛からないと間に合わないかもね、ということで8か月ぐらい前から肉体改造も始められていたと思います」

映画『人はなぜラブレターを書くのか』メイキングより松浦慎一郎

 撮影前には松浦、菅田共に川嶋に会いに行き、当時の話を聞いたという。「当時のタイトルマッチの様子や、その時の心境とか、信介とはどういう会話をしていたのか、といったことを伺いました。おっしゃるには、タイトルマッチで王者の徳山昌守さんをKOしたとき、一瞬何が起きたのかわからなかったそうです」

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 松浦の川嶋へのリスペクトは強く、初めは試合を完コピすることを目標としていた。

 「菅田君のご本人へのリスペクトも強く感じましたが、僕自身ガチガチだったと思います。あの試合をそっくりそのまま再現して、演じる二人(川嶋役の菅田、王者の渡辺光)のレベルもそれに合うようにしなくてはと。だけど石井監督はエモーショナルな場面にすることにこだわった。例えば、僕はどのアングルから観てもパンチが当たっているように見えるように手を考えていたのですが、石井監督は当たった瞬間はCGで表現するのでそれは必要ないと。そこは少し混乱しました。あとは、実際の試合シーンでは川嶋さんが相手に追い詰められる局面はそこまでなかったのですが、映画では追加することで観る人の感情を掻き立てる。結果的には、石井監督が物語に合うように演出してくださって、助けられたように思います」

 タイトルマッチの撮影は丸二日かけて行われ、演者にとっては肉体的にも負担が大きいものだったが、菅田は『あゝ、荒野』の経験があったため、現場ではタフだったと松浦は振り返る。

 「撮影したのが真冬で丸々2日ずっと上半身裸。しかも汗を表現するために体を濡らさなくてはならない。濡らして冷えて、撮影で動いて温まる。それを繰り返すので体の負担が大きいんです。でも、菅田君は『あゝ、荒野』を経験していたし、光君もボクシング経験者でタフだったので見事に対応してくれました。二人とも試合のみならず練習もスパーリングとかバチバチにやってくれて、お互い鼻血が出ることもありました。もちろん鼻が折れたりケガすることがないように十分配慮して進めていたとはいえ、二人とも気迫がすごかったですよ。“鼻血ぐらいなんだ”ぐらいの勢いでした」

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 『あゝ、荒野』に続いて2度目のタッグを組んだ菅田について、改めてその魅力を問うと「楽しむところ」だと松浦は話す。

 「多分ご自身でも相当、川嶋さんの映像を見て研究されたと思うんですけどまず真似るのがすごくうまい。それに、素晴らしいのは努力を努力と思っていないところです。あくまで楽しんでいる」

喪服の川嶋

 松浦が特に驚いたのが、菅田がタイトルマッチの撮影前に「水抜き」をしたときのこと。

 「史実に沿って、菅田さんが線香をあげるシーンの撮影を前に“松浦さん、水抜きをします”とおっしゃって。水抜きをしたら涙も出ないし、声も枯れてしまうし、いろいろ大変なわけです。でも、菅田さんは“そういう状態の方が悲壮感も出ると思うから”と。実際に現場に来たら唾も出ないぐらいの状態になっていて。意識も朦朧としているから、撮影でも少し関西弁(※菅田は大阪府出身)訛りになっているんですよね。そこまで自分を追い込むなんて人生そうそうないことですし、さらに凄いのが、そういったプロセスを楽しんでいたところ。菅田さんから連絡がありましたが、大変だとかいうワードは全く出ず“水抜きすると音や匂いに過敏になるんですね。違う階のトイレの音が聞こえたり、誰かパン持ってきてます?とかなったりします”と」

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 『あゝ、荒野』から9年後。「あの時はやせていて体力もなかった」とボクシング初心者だった菅田を思い返す松浦。「『あゝ、荒野』の時は15分ぐらい練習したら外に出て吐いて……という調子だったので、(撮影に)間に合うのかと心配になりました。しかも、当時、彼は超多忙だった。複数の主演映画に連ドラ、ラジオ番組も持っていて、夜中にボクシングの練習をしてそのままラジオ局に行くなんていうこともありました。だから“あれを経験していたら大丈夫じゃない?”という話はしていました」と菅田の成長を実感していた。

松浦慎一郎

 2024年にはボクシング映画への貢献に対し第45回ヨコハマ映画祭の審査員特別賞を受賞した松浦。これまで菅田のほか安藤サクラ岸井ゆきの窪田正孝松山ケンイチ横浜流星ら数々の俳優に指導してきたが、本人は「基本的には専門の方にお願いした方がいいんじゃないかというスタンス。ただ、僕は俳優なので感情がのるようにボクシングを組み立てることはできる、とは思っています」と謙虚に自身の強みを語っていた。(取材・文:編集部 石井百合子)

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