千鳥・大悟、是枝作品で綾瀬はるかと夫婦になった経緯に「ちょっとショック」

現在フランスで開催中の第79回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品されている是枝裕和監督の映画『箱の中の羊』(5月29日公開)。同作から是枝監督、綾瀬はるか、大悟(千鳥)、桑木里夢(※「桑」の木の上は十と草冠が正式)、音楽を担当した坂東祐大が現地時間17日に行われた公式会見に出席し、作品のテーマや撮影を振り返った。
本作は、少し先の未来を舞台に、息子を亡くした夫婦が、亡き息子と同じ姿・声を持つヒューマノイドを迎え入れるさまを描くストーリー。夫婦に綾瀬、大悟(千鳥)がふんし、亡き息子と同じ姿・声を持つ7歳のヒューマノイド役に新星・桑木が200名を超えるオーディションで抜擢された。
是枝監督は、会見で「子どもを失くした悲しみという普遍的なテーマと、現代的なテーマである人工知能を結びつけることになったきっかけは何だったのでしょうか。これらのテーマを織り交ぜて作品を作り上げたきっかけは何だったのでしょうか」と問われると、「まずはこんなにたくさんお集まりいただきましてありがとうございます。感激しております」と集まった記者たちに感謝。「AIについて僕は本当に詳しくないんです。ただ、その色々なところで議論されている話を聞きながら、一番大事なのはおそらく、技術が進歩してもなお残る最も人間らしいものはなんだろうか。それを観た方が観終わった後に辿っていけるような、そんな物語を書きたいなと思ったのがスタートでした」と答えた。
続いて綾瀬、大悟に「AIは俳優にとって脅威になると思いますか?」との質問が飛ぶと、大悟は「どうなんでしょうね。AIにまず「大悟は俳優なのか?」と聞いたらどう答えるのか。芸人って答えるのか。まだそんなに(脅威と捉えなくても)大丈夫じゃないかなと、僕は思っています。でも、そのうち怖くなりますかね」と回答。綾瀬は「AI が出て、便利だなと思う所もたくさんあると思います。ただ人間らしさみたいな、考えたり悩んだり、そこにたどり着くまでに色々考えて、寄り道したりするのは人間らしさだったりするので、そういうものはなくならないでほしいなと思います」と話し、是枝監督に「なくならないですかね」と問うと、是枝監督は「なくなってほしくないなと思ったので、映画の中でも手作業で模型を作りながら「“無駄”の部分が一番生きるということなのだ」っていうようなセリフを母から息子に伝えるセリフを書いたんです」と返した。
綾瀬、大悟演じる夫婦のもとにやってきたヒューマノイドについて、「このロボットの子どもの性質について、どのように考えられましたか? 彼は恐怖を知らず、痛みも知らない。羞恥心すら持っていません。しかしその一方で、共感する力があり、成長し、進化していきます。このユニークなキャラクターを、どのように作り上げたのですか?」との質問が上がると、「生成AIを使って死者を蘇らせるビジネスに取り組んでいるという中国の企業家の方がいて、その記事を読んで、中国へ行ったときにその方にお会いしました」と是枝監督。
「画像の中ですが、蘇った死者の方と対話を重ねて、それが過去だけでなく新しく対話をする相手として時間を積み重ねていけることを目の当たりにしたときに、大変興味深く、これは利用する方がいると思う反面、その死者の存在を生きている人間が勝手に操作していいのかという倫理的な問いが自分の中に生まれました。ただそれが問われるのは、彼ではなく人間側だと思いました。最終的にその倫理観に大人が気づくという部分をひとつの縦軸にしようと考えました。そのプロセスで、都合よく生んだ子どもがある瞬間不気味に思えたり、自分が語っていないことを理解しているように感じたりすることは、子育てをしている中でもよく感じることだと思います。それがかなり強調される形で母親と父親にとって不気味に感じられる。かわいくて切ない部分だけではないところをきちんと描こうと思いました」と続けた。
ヒューマノイドを演じる桑木は「是枝監督との仕事はどうでしたか? この役を表現するために、是枝監督とはどのように取り組んだのですか?」と問われると、「「自分通りでやって」「こういうしゃべり方じゃなくていいよ」と言ってくれて、あまり指示を出さない人でした」と素直に答え、笑いを誘った。
綾瀬は2015年公開の是枝監督の映画『海街diary』にも出演しており、「以前も監督とお仕事をされていますが、今回また是枝組に戻って新しい発見や以前にはなかったサプライズがありましたか?」との質問を受け、撮影を振り返る。
「監督は以前も本当に穏やかな方でしたが、今回はさらに穏やかで、現場は本当にずっと優しい空気感が漂っていました。その中にも緊張感はあるのですが、自然にお芝居に入って行けるような空気感。監督自身が現場で作られる空気感をとても大切にして撮影に入られているのだなと改めて感じました。監督はその日に撮ったものをその日に編集されて、それを受けてどんどん台本が変わっていくのですが、ちょっとずつセリフがなくなったり足されたりしていくことで、少しの違いなのかもしれないですが、それによって場面がぐっと締まったり、違う広がりがあったり…それが本当に凄いなと思いました。日々進化していく監督に驚きました。撮影して疲れているだろうに、寝ないで編集して、その集中力とエネルギーがすごいと撮影期間常に感じていました。ピリピリすることもあると思うのですが、いつも穏やかなのがすごいと思いましたし、人の領域を超えているんじゃないかと思いました」
是枝作品初参加となる大悟は「このキャラクターについて、あなた自身はどのように感じ、どのように解釈して演じられたのでしょうか。静けさと、時折見せる怒り、そしてもちろん悲しみの間で、どのように役に向き合われたのか。映画でのあなたの姿は本当に心に響くものでしたので、ぜひお聞かせください」と問われると、「そうですね、そんなに褒めていただいてありがとうございます」と感謝。
「でも、正直あまり考えてやらず、目の前の里夢が可愛ければ「可愛いな」と思って見ていたし、この子がロボットなんだと思って、そんなに深く考えずにやったというか。「可愛いけど、ロボットなんや」と。そんなに複雑なことを僕はしていなくて、そのまま目の前で起こったことに素直に反応していただけなので、いい感じに思っていただいてありがとうございます」と続けた。
また、綾瀬、大悟演じる夫婦のバックグラウンドについて「映画の舞台は関東の鎌倉の話ですが、方言で二人が西から来た人だというのが分かります。この二人はどんなバックグラウンドで出会い、結婚したのか。監督とのディスカッションや、二人の背景、出会いなど、役作りを教えてください」との質問が上がると、綾瀬は「大悟さんもいただいたと思うんですが、監督から事前に渡されていて。監督が音々(おとね)の気持ちになって書いた「私は母親と折り合いが悪くて、早く実家を出たくてこう(結婚)したんですね」と。 ケンちゃんとは、すごく熱烈な恋愛というよりは、「まあ、誘われたから結婚するか」みたいな(笑)」と回答。
是枝監督が「最初は「実家に帰らなくて済むから」みたいな理由。 それは(大悟から)「僕が綾瀬はるかの旦那でええんですか?」みたいなことを最初に聞かれたこともあって。どう二人に納得してもらうかを考える時に、どう出会って、どっちがどう積極的なアプローチをして、結婚に至ったかというのは、結構ちゃんと書いて二人に渡して、そこは納得した上で夫婦になってもらっています」と説明すると、大悟は「綾瀬さん(音々)がお母さんと離れたいというか、落ち込んでいたのかな、逃げ道を見つけた時に出会った男で、「まあ、ええか」みたいな、そんな感じですって説明を受けた時は、ちょっとショックでしたけど(笑)。でも、多分、ケンちゃんはそこまで気づいてないんじゃないかなと思って。元々の“大悟”が「え、綾瀬はるかが嫁ですか?」って勘違いしたまんまがちょうどいいかなと。勘違いしたまんまで、ケンちゃんは多分夫婦生活をしていると思います」と話した。(石川友里恵)


