幾度の延期、複雑すぎる再編集…『Michael/マイケル』完成を支えた“救世主”

映画『Michael/マイケル』(全国公開中)のプロデューサーを務めたグレアム・キングが来日時にインタビューに応じ、複雑だった再編集作業を振り返りながら、窮地に駆けつけた“救世主”について語った。
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“キング・オブ・ポップ”で知られるマイケル・ジャクソンの生涯を映画化した本作。日本でも今年公開の実写映画でナンバーワンとなるオープニング成績を叩き出し、全世界興行収入10億ドルの大台超えも見えてきた本作だが、完成までの道のりは険しいものだった。法的トラブルを巡って映画の3分の1(特に第3幕)が削られ、チームは追加撮影・再編集を余儀なくされた。
全米公開も当初の予定だった2025年4月18日から、何度も延期を重ね、1年後の2026年4月24日にようやく封切りを迎えた。グレアムは「大惨事になりかねなかった問題をポジティブな視点に転換して、『マイケルという人物をより深く知るために、もっと時間をかけられるようになった』と捉えることができました」と当時を振り返る。
再編集は「本当に複雑でした」とグレアム。オフィスの壁には、映画の全シーンの写真が貼られていたという。「ジグソーパズルのように『これをこうしたらどうなる?』『こっちをこう変えたら?』とずっと動かし続けていました」
そんなグレアムら製作陣を救ったのが、彼がプロデュースしたクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞編集賞に輝いたジョン・オットマンだ。グレアム曰く「彼に再編集作業に加わってほしいと頼みました。返事をするまでにはしばらくかかりました。というのも、『ボヘミアン・ラプソディ』の後、彼は編集の仕事に携わっておらず、別のこと(映画監督など)をやりたいと考えていたからです」となかなか首を縦に振らなかったそうだが、グレアムの説得を経て、再びタッグを結成することになった。
世界中のマイケルファンが映画の公開を待っている……。プロデューサーとしてあらゆる責任を背負っていたグレアムは、「もし期待に応えられなければ、残りの人生はどこかの島で隠居生活でもしようかと本気で思っていた」と冗談まじりに当時の心境を振り返る。
「再編集は複雑で、時間がかかり、相当な忍耐力を必要としました。何度もスタジオへ行って『この公開日に間に合わない、映画が完成しない。日程を動かす必要がある』と言い続けるのは、非常に辛いことでした」
「劇場公開日が何度も延期されたのは、映画の完成度がその域に達していなかったからです。スタジオは私たちの状況を理解して、辛抱強く待ってくれました。私たちは追加撮影に入り、この映画で自分たちが本当に伝えたいストーリーは何かを改めて実感し、そこにフォーカスしていきました」
グレアムはそれでも諦めず、完成に向けて粉骨砕身した。「24時間ずっとマイケルのことで頭がいっぱいでした。夜中の3時に起きて、監督や脚本家や編集者に電話して『いいアイデアを思いついたんだ……』と永遠とやり取りしました」
誰よりもマイケルを愛しているグレアムは、彼やその家族に「誇りに思ってもらえる作品にしたかった」と力を込めた。「『Michael/マイケル』に関わってから、到底想像もつかないレベルの課題が山積みでしたが、プロデューサーの仕事とは、それらをうまく調整し、マイケル・ジャクソン財団や家族、スタジオからの敬意と信頼を得ることです。それらを成し遂げられたのは、私にとっても大きな収穫でした」と語った彼の顔は、達成感に満ちていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)


