アカデミー賞台湾代表作品『左利きの少女』8月14日公開決定 iPhoneで捉えた人々の日常

昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品され、その年のアカデミー賞台湾代表作品に選出、さらには同賞の国際長編映画部門にショートリスト入りを果たした、『Left-Handed Girl(英題)』が『左利きの少女』の邦題で8月14日(金)より全国公開される。
【動画】アカデミー賞<台湾代表作品>映画『左利きの少女』予告編
『ANORA アノーラ』でオスカーに輝いたショーン・ベイカーと共に20年もの歳月を経て創り上げたのは、ツォウ・シーチン監督の故郷・台湾を舞台に描く『左利きの少女』。第77回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝き、米・アカデミー賞作品賞など4部門で受賞し『ANORA アノーラ』(24)でインディーズ映画界を熱狂させ、時代の寵児となったショーン・ベイカー。その彼と大学生時代に出会い、『テイクアウト』(04)で共同監督デビュー、以降はプロデューサーとして『タンジェリン』(15)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)、『レッド・ロケット』(21)などで彼を支えてきたのが、本作で満を持して単独監督デビューを飾った台湾出身のツォウ・シーチンだ。
第98回アカデミー賞国際長編映画賞台湾代表に選出され、同賞の最終候補15作品にリストイン、第26回東京フィルメックスでは観客賞を、第20回ローマ国際映画祭では最高賞を受賞するなど、広く支持を集めた。
監督の出身地である台湾・台北に実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケーションが敢行された本作は、5歳の左利きの主人公・イージンが祖父から“左づかいは悪魔”と叱られたことに端を発している。実は監督も“元”左利きの少女で、祖父に右手を使うように助言を受けた実体験を基にしている。
賑やかな喧騒と色彩豊かな都会の片隅に暮らすシングル・マザーの母親、姉、そしてイージンの3人。厳しい生活のなか、困難を乗り越えようと奮闘する姿を、幼いイージンの目線を中心に据えてエネルギッシュかつ繊細に活写した本作は、人間の清濁をのみ込んだ家族ドラマとして共感を呼び、思いもよらないサプライズと感動をもたらす。ベイカーに強く勧めたことで『タンジェリン』が生まれたように、監督はiPhoneを駆使して街の奥へと自在に入り込み、そこで生きる人々の日常を立ち上がらせた。古いしきたり、世代間のギャップ、“左利き”をモチーフとした制約……。パーソナルな物語に文化的・社会的背景を織り交ぜながら、自分らしさを肯定する、温もりの感じられる作品に昇華させている。
日本版ポスタービジュアルには、台北の夜の街を姉妹がバイクに乗っている姿が映し出されている。バイクの前に座っているのが本作の主人公のイージン。幼稚園への送り迎えを担う姉・イーアンの運転だ。背景には道の両側に色あざやかなネオンがひかり輝き、夜市が舞台の本作らしい喧騒と混沌がバイクの疾走と共に描かれている。今にも人々の喋り声や大きなクラクション音が聞こえてきそうな臨場感にあふれ、どこか切なくも強さを感じる表情からにじみ出る、人の温度感まで伝わるようなポスターに仕上がっている。
日本版予告編では冒頭から夜市の屋台が映し出され、湯気の上がった美味しそうな麺を小さな女の子が運んでいる。主人公・イージンは無垢な笑顔を見せたかと思えば、頬を膨らませて泣き始めるなど、クルクルと表情が変わって実に愛くるしい。母娘3人で暮らす楽しげなシーンの後には祖父母と食卓を囲んでいるイージンが祖父から「なぜ左手を使う、悪魔の手だぞ!」と咎められてしまう。左手を見つめ、罪悪感を抱くイージン。一方、母も姉も思わず涙がこぼれてしまうような何らかの事情がありそうで……。単に仲良し家族を描いた“ありきたり”の物語には留まらず、「一生隠し通すつもりだったの?」というセリフからもその後の展開が一筋縄でいかない様相を呈しており、興味をそそる内容になっている。
映画『左利きの少女』は8月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開


