映画『仮面ライダーゼッツ』CODEのエージェント全員集結、立ち位置決めで1時間以上!上堀内佳寿也監督が明かす裏側

CODEエージェントが全員集結!圧巻の8ショット
CODEエージェントが全員集結!圧巻の8ショット - 映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

 現在放送中の特撮ドラマ「仮面ライダーゼッツ」(テレビ朝日系・毎週日曜午前9時~)の集大成を飾る映画『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』。極秘防衛機関「CODE」に所属していたエージェント・万津莫/仮面ライダーゼッツ(今井竜太郎)が、“白昼夢”を駆使する国家公安委員会・玖門宗馬/仮面ライダー夢現(曽野舜太(M!LK))に立ち向かう。テレビシリーズのパイロット監督に続き、映画のメガホンを取った上堀内佳寿也監督がインタビューに応じ、規格外のスケールで描かれる本作の撮影秘話を明かした。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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誰も見たことがない規模外のバイクアクション

映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:「仮面ライダーゼッツ」の集大成となる映画の構成について、脚本の高橋悠也さんや谷中寿成プロデューサーらとはどのように話し合いを進めていきましたか?

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上堀内佳寿也監督(以下、上堀内監督):テレビシリーズを1年間やってきて、ある程度のことはテレビシリーズで表現できたので、だからこそ「何をしようか」というところから話が始まりました。最終的に「見たことのないものを映画として届けたい」という結論に至り、莫と小鷹賢政/ノクス/仮面ライダーノクス(古川雄輝)の2人を軸に物語を考えようという方向性に早い段階で決まりました。

Q:物語のテーマとなる「白昼夢」の設定は、どのように決まったのでしょうか?

上堀内監督:「白昼夢」は、2人を軸にするという話から1~2歩進んだ段階で、脚本の高橋悠也さんが提示したワードです。テレビシリーズでは「夢」というものを多く表現してきたので、もう1つのテーマであるエージェントらしさやスパイ映画的要素を表現したいという共通認識があったんです。そこで、映画の舞台を現実世界にできないかという話になりました。もちろん、夢の中という設定も含めつつ、どう展開していくかを考えた時に、夢が現実を侵食するという意味で「白昼夢」というワードが出てきました。

Q:映画で掲げた初めての試みや、上堀内監督が自らに課した挑戦はありますか?

上堀内監督:とにかく「誰も見たことがない規模のバイクアクションをやってやろう」と思いました。仮面ライダーシリーズの歴史の中でも「これが1番のバイクアクションだ」と観客にも思ってもらえるようなものを作りたい。そういうハードルを自分自身に課して撮影に臨みました。

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映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:監督の言葉通り、冒頭から万津莫/仮面ライダーゼッツと小鷹賢政/ノクス/仮面ライダーノクスによる約8分のバイクチェイスが展開されます。

上堀内監督:作品自体はフィクションなので、日常の枠に収まりすぎていると、刺激が少ないと思うんです。フィクションとして、自分たちが普段生活しているルールのキャパシティーを超えた映像が見られるからこそ、映画やドラマを作る価値があると考えています。そこは絶対に感じてもらいたかったので、ロケーションを探して交渉してくれる制作部と、台本ができる前からどういう場所でやろうかという打ち合わせを並行して進めていました。あれだけのことができるロケーションを引っ張ってきてくれて、あのスケールでやり遂げてくれるスタントチームがいたので、改めて「仮面ライダーのスタッフはすごい」と実感しました。

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Q:バイクアクション中の臨場感あるカメラワークも印象的です。

上堀内監督:疾走感を出すこと、視点的な面白さを狙った部分もありますが、実はもう1つ、限られた撮影期間でクオリティーを最大化するという利点もありました。バイクの1走行あたり1カットずつ撮っていくような時間的な余裕が少ない中、今回はカメラの台数を増やし、本番で走る回数を減らすことで全体のクオリティーを上げる手法を取りました。そのため、バイク自体に多数のカメラを設置し、さらに外側からも別のカメラで狙うという形にしています。だからこそ、限られた期間でありながら、あれだけ多様なアングルと圧倒的なカット数を両立できたのだと思います。

Q:バイクチェイスの途中、ねむ(堀口真帆)がゼッツに代わってコードゼロイダーを運転する展開も描かれます。

上堀内監督:きっかけは僕なんです(笑)。最初にバイク戦の流れを考えている時に、「ここでねむが乗ってきたら面白いんじゃない?」と思ったんです。今作のバイクチェイスは非常にシリアスで緊迫感のある展開が続くので、ねむにその空気を1回壊してほしいという思いがありました。そして、堀口さんはその期待に見事に応えてくれました。アフレコ中もクスッと笑える柔らかい空気を作ってくれたので、彼女だからこそ成立した素晴らしいシーンになったと思います。

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莫と小鷹の立ち位置にこだわり

映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:最大の敵となる玖門宗馬/仮面ライダー夢現について、キャラクター造形や演出でこだわった点はどこでしょうか?

上堀内監督:玖門宗馬/仮面ライダー夢現を演じた曽野舜太(M!LK)さんとは、衣装合わせの時に「こういうイメージです」という大枠の話はしましたが、基本的には撮影現場で本人と一緒に決めようと思っていました。実際に曽野さんが演じると、良い意味で僕の想像とは異なる、彼ならではの素晴らしいお芝居が出てきました。僕はその場で見せてもらった彼のお芝居を、さらに物語の流れに乗せるためのポイントをその都度作っていくという、その瞬間の体感でキャラクターを作り上げていきました。

Q:玖門の佇まいからは、ただならぬオーラと説得力を感じました。

上堀内監督:それは曽野さんご本人のスター性、人間としての存在感だと思います。あの若さで哲学的なセリフを語っても、スッと耳に入ってくる説得力がある。本当に稀有な、素晴らしい力を持っている役者さんだと感じました。

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映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:映画の見どころの一つとして、莫と小鷹の奇跡の共闘が挙げられます。演出において意識したポイントを教えてください。

上堀内監督:この2人はお互い、自分の信念に沿って動いています。ただ、表面には出さなくとも、根底で繋がっている想いはあるはずなので、演出としてはとにかく2人の立ち位置にものすごくこだわりました。一緒に並んで変身する時、本当に綺麗に横並びになるのか? それともどちらかが一歩下がるのか? 段差がある場所なのか? どちらかが立っていて、どちらかが座っているのか? そのシーンにおいて莫と小鷹が抱いている感情を、アングルや立ち位置も使って表現したかったんです。役者さんともすり合わせながら、非常に細かい部分まで緻密に調整しました。

Q:1年間キャラクターを背負ってきた今井さんと古川さんが織りなすケミストリーはいかがでしたか?

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上堀内監督:彼ら自身が1年間でキャラクターと関係性を作り上げてきてくれたんだというのを、映画の撮影中に強く感じました。「こういう流れだから、このシーンではこういうお芝居にしてみましょう」という話はしましたが、「今ここでこういう感情を抱いていて……」といった内面的なすり合わせは、撮影現場では一切していません。それくらい2人を信頼していましたし、良い意味で僕は手放しで莫と小鷹の関係性を見守っていました。

映画限定フォームのアクション、ヒントは第1話の冒頭

映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:また、CODEのエージェントが一堂に会するシーンも映画の見どころです。

上堀内監督:最も意識したのは、彼らが団体(一枚岩)にならないことです。CODEのエージェントの8人はそれぞれが個性の塊すぎて、修学旅行のグループ分けだったら絶対に同じグループになりたくないような、誰も言うことを聞かないメンバーなんです(笑)。同じ目的、同じ敵に向かってはいるけれど、お互いには一切興味がない。そういう関係性を映像で表現したかったので、8人が全員きれいに収まっているグループショットよりも、実は個々のカットを多く撮りました。そうやってお互いの距離感を際立たせるためのカット割りにこだわりました。

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Q:各々の立ち位置を決めるだけでも、かなり大変だったのではないでしょうか?

上堀内監督:ロケハンの段階で、立ち位置を決めるためだけにスタッフみんなで1時間以上も話し合いました。「この人の前に、この人がいたらどう思うだろう?」「この人の隣には絶対いたくないよね」と1年間の関係性を踏まえた配置を試行錯誤し、映画で8人が揃った画を見た時に、その関係性が一目で伝わるような構図になっています。過去にスーパー戦隊シリーズも担当しましたが、戦隊の全員集合は団結がテーマです。対して、「仮面ライダーゼッツ」は「団結ではない個々の意志」が強さになる。そこも意識して演出しています。

Q:彼らの力が集結した映画限定フォーム「仮面ライダーゼッツエージェンドリーム」はどのように演出されましたか?

上堀内監督:本当に大変でした! 映画はテレビシリーズ最終回よりも先に公開されますが、撮影自体は映画の方が後だったんです。そのため、スタッフとしても「映画で集大成」「テレビで集大成」という2つの気持ちが混ざり合い、エージェンドリームという新フォームが生まれました。

 これをどう表現すべきかアクション監督の渡辺淳さんともすごく悩んだのですが、僕たちがテレビシリーズをやってきて「莫が一番エージェントらしかった瞬間ってどこだろう?」と振り返ってみたんです。すると、第1話冒頭のガンアクションに行き着いたんです。あの時に「これはスパイ映画だ」と感じられたので、そこをヒントに、スタイリッシュかつアグレッシブに戦うアクションを紐解いていきました。

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 あとは劇伴です。莫が1年間かけてエージェントとして、人間として成長し、1枚も2枚も剥けた存在になったことを感じさせる、作品のテーマ性を背負った新曲を発注しました。莫の根底にあるものを残しつつ、その先に進んだ姿を音楽でも表現できたことで、現場の演出やアクションと併せて非常に説得力のあるフォームに仕上げられたと思っています。

映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:音楽といえば、主題歌アーティストのYUTAさんが俳優・中本悠太として出演されています。短い出演ながら抜群の存在感でしたが、YUTAさんの演技はいかがでしたか?

上堀内監督:さすがでしたね。アーティストであるということは、一流の表現者だということです。僕にとって主題歌も、作品を構成する大切な要素の1つです。その主題歌を歌うYUTAさんが、今作のテーマである「夢」を背負って劇中に登場するなら、一体何を語るのか。そこが今回の出演の面白みだと思いました。劇中では、多くは語らずとも、YUTAさんだからこそ夢について語る資格があると感じられるシーンになっています。存在感はピカイチでした。

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Q:「仮面ライダーゼッツ」の制作を振り返って、上堀内監督が得た収穫や今後につながる課題などはありますか?

上堀内監督:僕は「仮面ライダー」というシリーズが、この先もずっとこの世に存在し続ける作品であってほしいと願っています。だからこそ、未来へ、次の世代へ繋いでいけるように作っているつもりです。これから自分より後輩の監督たちが出てきた時に、「仮面ライダーは歴史がある作品だけど、やってはいけないことなんて何もないんだ」と思ってほしいんです。周りからどう見えているかは分かりませんが、僕自身は常に「こうあるべき」という固定概念に囚われない、チャレンジングな姿勢を提示し続けたいと思って作ってきました。そういう意味では、手応えというよりも、これから先に向けた挑戦が残っています。

映画「ゼッツ・ギャバン インフィニティ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Q:これから本作をご覧になる『ゼッツ』ファンのみなさんに向けて、メッセージをお願いします。

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上堀内監督:テレビシリーズを応援してくださっているみなさんにとっては、テレビではまだ見たことがないような人間関係や、驚くようなサプライズがたくさん詰まった作品になっています。一方で、テレビシリーズをまだ見ていないという方にとっても、映画単体でも間違いなく楽しんでいただける、独立した作品として自信を持って作りました。劇場を出た時に「この作品はスクリーンで見て本当に良かった」と満足していただけるものが完成しましたので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

映画『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』は全国公開中(映画『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』と2本立て上映)

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