“銀色”のライトセーバー登場!伝統と新境地

これぞスター・ウォーズ!「九人目のジェダイ」レビュー

(C)2026 Lucasfilm Ltd.

 『スター・ウォーズ』宇宙を舞台に新たな物語を描く全8話の長編アニメシリーズ「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」が全話配信中。ヒットメーカー・神山健治が総監督を務め、Production I.Gが制作を手掛けるこの作品は、なぜ『スター・ウォーズ』ファンの心に響くのか。4つのキーワードに沿って、その魅力を読み解く。まずは、シリーズ独自のライトセーバーの魅力に迫る。(文・平沢薫)
※注意:本記事は一部ネタバレを含みます。

【画像】アニメ「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」キャラクタービジュアル

原点に立ち戻りながら描く新たな物語

 結論から言おう。「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」は、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を生み出した、初期の精神を継承している。そのうえで、そこに留まらず、それを進化させている。だから『スター・ウォーズ』ファンの胸を震わせる。

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 本作の舞台は、ジェダイもシスも消えてしまった時代。強いフォースの力を秘めた少女カーラは、何者かに誘拐された父親を救うため、ジェダイ騎士団を復活させようとする仲間たちと一緒に、広大な銀河で冒険を繰り広げていく。

 まず注目したいのは『スター・ウォーズ』を象徴する重要アイテム、ライトセーバーだ。「九人目のジェダイ」は、ライトセーバーに新たな要素を加えた。この設定はオムニバスアニメ「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume 1の一編「九人目のジェダイ」から始まった。この短編で、セーバースミス(鍛冶屋)のジーマは、自身の作ったセーバーについて、娘のカーラにこう説明する「このセーバーは、手にした者の内面を反映するように、カイバー・クリスタルを鍛えてあるんだ。ビームの色や長さは、使う者ごとに変化するだろう」。その言葉通り、カーラがライトセーバーを起動させると、ビームの色はほとんど透明で、長くなったり短くなったりする。

 この設定は斬新だ。この設定によって、これまでの『スター・ウォーズ』にはなかった、さまざまな出来事が起きる。「九人目のジェダイ」から登場する、鳥類を思わせる風貌のジェダイ、ホーメンのセーバーの色は当初「赤」だったが、自身の抱える迷いから抜け出すと、セーバーの色が「紫」に変わる。

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 また、第1話で、銀河支配を目論む独裁者として登場する、ナワームのセーバーはカーラたちの宿敵でありながら青い。一方、第5話ではカーラのセーバーの色が赤くなる一幕もあった。

ライトセーバーの色が意味するもの

 しかし、“ライトセーバーの色”が意味する基本的な意味は変わっていないのではないか。そもそもジェダイとシスのライトセーバーの色が違うのは「この2者は、考え方や価値観が正反対である」ということを視覚化したものだったように思える。

 もう一つ、セーバーの色の意味は『スター・ウォーズ』と同じだと痛感させるのは、第6話、自分のセーバーが赤くなったことに衝撃を受けるカーラに、辺境伯ジューロのフォースゴーストが語る言葉だ。「赤は、怒り、憎しみ、恐れ、そういった感情の現れだ。だが、それらも人の感情のうち。支配されてしまわなければダークサイドに落ちたりしない」。この説明はこれまでの基本通りではないか。

敵であるはずのナワームだが、セーバーの色は……

 そして、それを踏まえて注目したい点が、本作には新たな色のセーバーが登場すること。これまでは、シスのセーバーの色は赤、ジェダイのセーバーの色はブルー、グリーン、パープルで、例外的に黒い古代のライトセーバー“ダークセーバー”が存在するだけだった。しかし、本作には謎の人物ナワームが持つ「銀色」のライトセーバーが出現する。そしてその色は、ジェダイともシスとも違う、「無」が至高の境地であり、それが生む「強さ」を最高のものとする新たな価値観を象徴する。それが「ジェダイとは何か」「正しさとは何か」という大きなテーマにつながっていく。

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 このように、物語の中でライトセーバーが大きな役割を持つので、ヴィジュアル面でもセーバーの表現が強い印象を残すシーンが多い。中でも1対1のセーバーバトルには常に緊張感がみなぎっており、目を離すことができない。

 セーバーバトルの多さは、神山総監督が最初から意図したものだという。神山総監督は、ジョージ・ルーカス監督が『スター・ウォーズ』を構想した時に、黒澤明監督の時代劇を意識して「ジェダイ」という名称を発案した原点に立ち戻り、ジェダイは「騎士」ではなく「侍」であると考えた。だから本作のジェダイは、セーバーを日本刀のように両手で持って戦う。また、本作の監督を務めた多田俊介氏が剣道の有段者であることも、セーバーバトルの演出に影響を与えているのではないかと語っている。総監督が抱く『スター・ウォーズ』の原点への敬意が、セーバーバトルの映像に漲っている。

 こうして本作のライトセーバーには、『スター・ウォーズ』の原点への敬意と、新たな視点の双方が宿っているのだ。ライトセーバーのバトルシーンからそれが伝わってきて、『スター・ウォーズ』ファンの心に響くのだ。

「スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ」はディズニープラスにて独占配信中

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