塚本晋也監督『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』タイトルに繋がる本編映像公開 小島秀夫ら著名人コメントも到着

 『野火』『ほかげ』などの塚本晋也監督が、ベトナム戦争に従軍した元アメリカ兵のノンフィクションを映画化した最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(9月11日公開)より、作品のタイトルにもつながる本編映像が解禁された。また、映画監督のギャスパー・ノエやゲームクリエイターの小島秀夫監督ら各界著名人から寄せられたコメントも公開された。(塚本晋也の「塚」は「豕」に点ありの旧字体が正式表記)

【本編映像】『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』

 原作は、ベトナム戦争で“加害者”となり、帰国後にPTSDに苦しみながらも日本全国で1,200回以上の講演を行い、自身の体験を語り続けた実在の元アメリカ兵、アレン・ネルソン氏の著書。「戦争加害者の傷」というテーマに塚本監督が真正面から挑み、ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄の4か国で撮影を敢行した。すでに第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門への正式出品に加え、第51回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門への正式出品も決定している。

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 公開された本編映像は、戦場で目にしたもの、そして自らが犯した殺戮行為によって深いトラウマを抱え、フラッシュバックからまともな生活ができず、ホームレスとなっていた23歳のアレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)が、幼なじみの小学校教師に頼まれ、初めて子供たちの前で自らの戦争体験を語る一場面。

 緊張しながらも、子供たちの無邪気な質問のおかげで場が和むなか、ひとりの少女が挙手し「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」とアレンに問いかける。その無垢な問いは、ネルソンの心に刻まれた戦争の記憶を呼び覚まし…アレンが自らの戦争体験と向き合い、その後の人生を歩んでいく契機でもある、本作を象徴する重要なシーンだ。

 そんな本作に寄せられた著名人コメントでは、ギャスパー・ノエ監督が「今の帝国主義が抱える野蛮な一面を描き出すには、塚本のような大胆な日本人監督こそがふさわしかったと思う」と絶賛。また、塚本監督と親交の深い小島監督も「戦火が身近に広がりつつある今、誰かが創らねばならなかった、誰もが観なければならない映画だ」と訴える。さらに、作家の永井玲衣、ミュージシャンの春ねむりからも、作品が突きつける問いの重さと意義を称えるメッセージが届けられた。全文は以下の通り。

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映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は9月11日より kino cinema 新宿ほかにて公開

・ギャスパー・ノエ(映画監督)
この映画は、現代人もまた過去のいかなる時代の人間にも劣らず野蛮な存在であることをあらためて突き付けてくる。そして、まだ若い青年たちをジャングルや戦地に送り込めば、彼らは人間ではなく、爬虫類のような生き物へと変えられてしまうのだということを。

私の友人である塚本晋也が、アメリカとベトナムを舞台にこの映画を撮ると知ったとき、私はとても驚いた。しかし、今の帝国主義が抱える野蛮な一面を描き出すには、塚本のような大胆な日本人監督こそがふさわしかったと思う。

幸いにも、主人公(そして自伝の著者でもある)ネルソンは、自身が背負ったトラウマと、その過去の行為を後世へと伝えることによって、遅ればせながら、確かな一端の救済へとたどり着く。この深く実存的な旅をスクリーンに刻み、未来の世代へと手渡してくれたことに感謝したい。

・小島秀夫(ゲームクリエイター)
戦争とはなんなのか? 人をどう変えるのか? どこまで人を壊すのか? 戦火が身近に広がりつつある今、誰かが創らねばならなかった、誰もが観なければならない映画だ。そして、“戦争加害者”でもあり、“被害者”でもあるネルソンさんの証言に耳を傾けるべきだ。皆が擬似体験することになる。悍ましさを。怖ろしさを。悔悟の涙を。それは、まさに映画のひとつの役割でもある。その後で、議論するだろう。いつまでも、語り継ぐに違いない。未来に繋ぐために。「ネルソンさんが、何故、人を殺したのか?」を。

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・永井玲衣(作家)
あまりに、あまりに、あまりに耐えがたい。だが、戦争のことを知りたければ見るべきだ。あなたが戦争を愛さないのならば、見るべきだ。戦争は永久に人間を壊してしまう。そのことを、わたしたちは本当にわかっているのだろうか。

・春ねむり(ミュージシャン)
搾取と抑圧・殺戮・暴力を内包する社会システムのうちに生まれ、この胎の奥を怒りと憎しみに喰われながら、それでも生きていかねばならない。もうほかの誰からも奪いたくないと望む意志を手に入れろ。その先に戦場以外の未来がある。

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