「ダウンタイム」美容整形経験者への取材で気付き Yuki Saito監督が裏側明かす

松岡茉優主演・仲里依紗共演により美容整形業界の光と闇を描くNetflixシリーズ「ダウンタイム」(配信中)。本作では豊胸や鼻整形、エラ削り、フェイスリフト、全身整形などの様々な美容整形手術を受ける患者が登場するが、それらは脚本の池上純哉、監督の Yuki Saito、プロデューサー陣が取材を重ねて生み出している。「リアリティーを持たせるためとにかくいろんな人に話を聞いて脚本に落とし込んだ」というが、どのような人々に取材したのか? Yuki Saito 監督が語った。
【画像】キャストが特殊メイクで激変!「ダウンタイム」場面写真<10点>
本作は、美容整形業界を舞台に、美を追い求める人々の希望や葛藤、そしてその裏側に潜む光と闇を描き出すオリジナルストーリー。天才的なオペ技術を持ちながら「医療で命を救う」という信条に従い行った緊急オペが原因で、勤務していた大学病院を去ることになる主人公の形成外科医・沼田文(松岡)と、彼女をスカウトする、「美で人を救う」ことが信条の遠山美容外科クリニックのカリスマ美容外科医・遠山凜(仲)。価値観の異なる2人がそれぞれの信念をぶつけ合い、激しく対立する。脚本を、映画『孤狼の血』シリーズやNetflixシリーズ「極悪女王」などの池上純哉、監督をドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」で注目を浴び、先ごろ「薬屋のひとりごと」実写ドラマ版の制作が発表されたばかりの Yuki Saito が務める。
Yuki Saito監督はメガホンをとるにあたり半年かけて取材を行い、脚本開発にも携わったという。
「取材させていただいたのは、患者さんでいえば、初めて整形された方、ちょっと整形を考えているという初心者から、数千万以上かけて5回、6回と繰り返されている方、醜形恐怖症と診断されながらやめられない方まで。ドクターでいえば、例えば監修に入っていただいている高須クリニックさんのような老舗の美容クリニックの方から、直美(※医学部卒業後、2年間の初期臨床研修を終えた後、一般診療科で専門医としての経験を積まず、そのまま美容外科へ進む若手医師を指す医療業界の俗称)の方で開業されたばかりの方、歌舞伎町を軸にやられている方とか、ものすごい人数を取材しました」
患者役の取材対象には、整形にまつわるサイトを運営する「ねくらちゃん」を介して接触し、座談会形式で取材が行われた。
「劇中で長井短さんが演じる「ヲ蔵ちゃん」のモデルにもなっている、ねくらちゃんという方にご協力いただきました。美容整形で悩む人たちのためのサイトを運営されていて、ねくらちゃんに“こういう方と会いたい”とお願いして、整形の経験者を集めていただきました。毎回テーマを決めて“今回はまず一回整形してみたという方”といったふうに3、4人の座談会方式で脚本の池上さん、プロデューサーの茂木(克仁)さん、三宅(はるえ)さん、僕と共にアプローチしていきました」
そうした取材を重ね、豊胸手術をしたばかりのモデル(景井ひな)、オーディションを前に美容整形を決心する声優のたまご(天野はな)、整形依存症のキャバクラ嬢(安達祐実)、命懸けの全身整形に臨む高齢者(研ナオコ)……さまざまな患者のエピソードが生み出された。
「僕が入る前から取材しているチームもいて、彼らの情報も反映しているので、取材を反映していないエピソード、キャラクターはないと思います。各キャラクターにモデルがいるというわけではありませんが、取材した方々のエピソードをミックスして反映しているという感じです」
本作の肝は、美容整形を否定してきた主人公がさまざまな患者たちと接するなかで価値観が揺らいでいくところでもあり、監督は「観てくださる方が文を通して考える体験型ドラマになれば」と話す。
「文は形成出身で、初めは完全に美容整形を蔑視している。そんなアンチ整形の立場の医師がひょんなことで美容整形科医の凜の下で働かなくてはならなくなり、患者と触れ合うなかでさまざまな考え方、価値観があるということを知っていく。後半ではことさら“自分の考えは正しいのか”と自問自答していくことになるのですが、ドラマを見てくださる方にも文と同じように自分の価値観が揺らぐ、見直すきっかけになれば、と思っています」(編集部・石井百合子)



