NHK「会社員」パワハラをもみ消し…吉田羊が「脚本を読んで最も背筋の凍るシーン」

NHK総合ドラマ10枠(毎週火曜よる10時~10時45分)で放送中の「会社員」で主演を務める吉田羊。野心を胸に男性組織を駆け上がってきた50歳の会社員を演じる吉田が、役へのアプローチや劇中で対峙する南沙良との共演、今後の展開について語った。
【画像】英理子(吉田羊)が決定的なデータを発見し…第3回場面写真
本作は、NHKが立ち上げた脚本開発チーム“WDR(Writers' Development Room)プロジェクト”によって生まれたオリジナルドラマ。大手企業を舞台に、勝ち気で完璧主義な幹部候補の宮木英理子(吉田羊)が、昇進を目前に脅迫者と対峙することになり、やがて組織が抱える歪みに直面していくさまが描かれる。
吉田演じる英理子は、大手企業のコーポレートデザイン本部長。会社組織を努力と実力で勝ち抜いてきたという自負があり、その行動力は周囲を巻き込み、時に事態を悪化させることも。野心家だが、その根底には仕事で成果を出し続けなければ自分には価値がないという強迫観念にも似た思いがある。いま主導しているプロジェクトを成功させれば、念願の取締役昇進が約束されている。ところがプロジェクトのリリースを目前に控えたある日、英理子のもとに匿名の脅迫文が届く……。
第1回では、英理子が組織での自分の評価を優先し、部下・山岸(小久保寿人)の寺田(加藤清史郎)に対するパワハラをもみ消そうとするさまが描かれた。そんな役へのアプローチについて、吉田はこう語る。
「就職氷河期をサバイブしてきた世代の生き残りと考えると非常にキレものであることは間違いなく、その時代に顕著な男性優位の社会で、不当な扱いや、理不尽な思いをたくさんしてきたのだろうと想像しました。彼女は、会社利益や会社に尽くすことを人生のプライオリティとし、“会社のため"という大義名分を掲げながら清濁合わせ飲んで生きてきたのだろうなと。また、パワハラという言葉もない時代を生きてきた彼女には、それへの認識の甘さも正直感じます。例えば、部下のパワハラを業務の一環と置き換え、被害者にも非があるのではと本人に迫るシーンでは、一見相手に寄り添う仕草を見せつつも、最後はまるで本人の意思であるかのような結論へ誘導する。脚本を読んで最も背筋の凍るシーンでしたし、現在の英理子の本質だと感じました。ただ、彼女にも良心はある。だからこそ迷う。そして、目の前にぶら下げられた役員昇進という人参を前に、保身と倫理に揺れる姿には共感しきりで、強さと弱さが背中合わせの彼女の感情を、しっかりと演じたいと思いました。この先物語が進むにつれて、英理子の過去が少しずつ明らかになってきますので、引き続きご覧いただければ幸いです」
そんな英理子を揺さぶるのが、南沙良が演じるメールセンターで働く派遣社員・斉藤るり。部下の問題をもみ消そうとする英理子に脅迫文を送り、徹底的に追い詰める。吉田は南の目力に「「この人の前ではウソをつけない」「ごまかしが利かない」という気持ちになる」と話す。
「英理子は負けん気も強いですし、自分に負い目があるものですから、なんとかそれを相手に悟られまいと自分を固くするところがあるんです。でも、それを超えて突き刺してくる南沙良さんの目力があって。彼女の視線を受けていると、「この人の前ではウソをつけない」「ごまかしが利かない」という気持ちになるんです。表では冷静なのに、内心はすごく焦っていて、それをなんとかごまかそうとしている──そんな英理子の感情は、実際に彼女とお芝居で対峙してみて生まれたものだったと思います。そんな沙良ちゃんですけど、顔合わせの時には全く目が合わなくて、この作品楽しんで入ってくださっているのか心配でした(笑)。その後、加藤清史郎さんから「彼女はすごくシャイで人見知りで、打ち解けるのに時間がかかる子です」という情報をいただいたので、果敢に話しかけるようにしたら、今は何を聞いても答えてくれるようになって。とても優しい沙良ちゃんです!」
27日放送・第3話では状況が一変。英理子とるりは山岸のスマホから、ある決定的なデータを発見し、英理子は寺田の訴えを軽んじた自分の判断を悔い、山岸をプロジェクトから外すと安西(尾美としのり)に宣言した。今後の展開について「英理子にとって、前向きに諦めなければいけない出来事が次から次へとやってきます」という吉田。
「お芝居だとわかっていても、自分がこの立場だったらと考えると、やっぱりすり減っていく。そのすり減り方は、最終回に向けてむしろパワーアップしているかもしれません。私たちも、台本が完成するたびに驚いていました。どこに着地するのかは知らされていなかったので。前向きに諦めることが重なると、うっかりすると孤独に陥ってしまう。でもそんなとき、苦しみをシェアできる仲間や同僚、頼れる先輩がいることで、その孤独を脱することができる。その頼れる存在が会社員であり、その集合体が組織である──そうあってほしいと、このドラマを演じて感じました。皆さんにもぜひ伝わればいいなと思っています」と視聴者に呼び掛けた。



