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大統領から恋人たちまで…アメリカンジュエリー代表ティファニーの知られざる顔【第10回ティファニー】

映画に見る憧れのブランド

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Tiffany&Co.
クリスマスのニューヨークといえば……やっぱりティファニー! - Franco Origlia / Getty Images

 以前、ニューヨークの五番街で、ティファニーブルーの紙袋をもって歩く男性に女性から羨望のまなざしが注がれた光景を見たことがあります。それぐらい、ティファニーはロマンティックな贈り物の代名詞ジェニファー・ロペスも昨年、当時の恋人だったラッパーのドレイクから、10万ドル(約1,100万円/1ドル=110円換算)もするティファニーのダイヤモンドネックレスを贈られたことがSNSで話題になりました。

 一般人もセレブも魅了する創業181年を迎えるティファニー。開店当時はごく普通の雑貨屋だったことをご存知でしょうか? 今回は、そんなティファニーの意外な顔をご紹介します。

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マリー・アントワネットのコルセットを売りさばいた!?

 高級ブランドや百貨店が立ち並ぶニューヨークの五番街に佇むティファニー本店。今では、世界各地に300店舗以上を構えるダイヤモンドの王様と呼ばれるジュエラーです。1837年、チャールズ・ルイス・ティファニーは、父親から借りた1,000ドルを握りしめて、友人ヤングと起業しようとコネチカットからニューヨークへやってきました。

 その頃のニューヨークは貧困、不潔と犯罪にまみれた街。1840年代から60年代のニューヨークを舞台に移民の人間ドラマとギャングの闘争を描いた、レオナルド・ディカプリオ主演作『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)に見る街の様子を想像して下さい。今のニューヨークからは想像もできない街に、文具&雑貨店ティファニー・アンド・ヤングを開いたチャールズは、港へ出かけては船員たちから中国やインドの陶器を買い上げて店で売っていたそうです。

『ギャング・オブ・ニューヨーク』
これが当時のニューヨーク!? 映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』より - Miramax Films / Photofest / ゲッティ イメージズ

 その後、ヤングがパリでヨーロッパの珍しい商品を買い付けるようになり、店の格は上がっていきました。1847年には、パリで起きた2月革命のどさくさにまぎれて、フランス王朝の宝飾品を入手しアメリカで売りさばいたといわれています。その中には、宝石がちりばめられたマリー・アントワネットのコルセットもあったという噂も。

 1853年にはパートナーから店の権利を買い取り、店名をTIFFANY & Co.に変更。この頃には、ティファニーの銀食器やジュエリーは有名になっており、1878年には、世界最大の287.42カラットのイエローダイヤモンドを買い取り、世界的な宝石商としての地位を確立しました。リカットしても128.54カラットもあるイエローダイヤモンドは、今ではティファニー ダイヤモンドと呼ばれ、ブランドのアイコンとしてニューヨークの本店に飾られています。

『ティファニーで朝食を』
映画『ティファニーで朝食を』といえば、この写真! - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ちなみに、映画『ティファニーで朝食を』(1961)のポスターの撮影に、主演のオードリー・ヘプバーンはこのジュエリーをまといました。実はこのティファニー ダイヤモンドを身につけた女性は歴史上、たったの2人しかいません。ドキュメンタリー映画『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』(2016)では、そんな数々の逸話をうかがい知ることができますよ。

あのスティーブ・ジョブスもファンだった!?

 チャールズ亡き後、息子のルイス・コンフォート・ティファニーは父の跡を継がずに自らのスタジオを主催し、デザインを追求。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家となりました。

 アール・ヌーヴォーとは19世紀末から20世紀初頭にかけてブームになった装飾美術運動で、左右非対称の有機的曲線や、自然をモチーフにしたデザインが代表的です。例えば、第一次世界大戦後の好景気に沸く1920年代のニューヨークを舞台にしたディカプリオ主演作『華麗なるギャツビー』(2013)に見られます。実際に、本作のジュエリーはすべてティファニーが担当キャリー・マリガン演じるデイジーがパーティーで装う、パールやダイヤモンドがあしらわれた豪華なハンドオーナメントやヘッドドレスが、アール・ヌーヴォー調のジュエリーです。これらの作品はグレート ギャツビー コレクションとして販売されています。

『華麗なるギャツビー』
デイジーが身に着けた魅力的なジュエリーの数々。映画『華麗なるギャツビー』より - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ルイスが手掛けたステンドグラスやランプはメトロポリタン美術館に展示されていますが、アシュトン・カッチャーがジョブスを熱演した『スティーブ・ジョブズ』(2013)に登場するフロアランプもその一つだと考えられています。

 事実、スティーブのリビングルームにはティファニーランプとアインシュタインの写真が飾られていたそう。毎日同じスタイルの洋服を着るなどミニマリズムを信じたスティーブが、この装飾されたランプをなぜ好んだのでしょう? それは、シンプルさと機能性を極めたアップルの美学に通じるものがあるのかもしれませんね。

『スティーブ・ジョブズ』
果たしてアップルの美学にティファニーは関係あるのか……映画『スティーブ・ジョブズ』より - Open Road Films (II) / Photofest / ゲッティ イメージズ

 さて、素晴らしい芸術品の数々を歴史に残したルイスですが、『ジュエリーの世界史』の著者で宝飾史研究家である山口遼氏によると利益よりも芸術を追求したがために、初代チャールズが築いた莫大な遺産を約1/10にまで減らしてしまったのだとか。

 一方、2代目社長クックの経営も、革新的な商品開発や新規顧客の開拓に欠けたと批判されて、1930年代から40年代は赤字経営が続きました。

 しかし、『ティファニーで朝食を』の人気で、アメリカの幸せなカップルというイメージを定着させることに成功したティファニー。エルサ・ペレッティパロマ・ピカソなど個性豊かなジュエリーデザイナーを起用することでブランドとしてさらに成長しました。

中流階級に門戸を開いた高級宝石店

 五番街にあるティファニー本店は、フロア毎に価格帯が異なる商品を展示しています。ティファニー ダイヤモンドを始めとした華やかなジュエリーが陳列された1階、ハイジュエリーのオーダーメイドができるティファニーサロンがある中2階、ブライダルリングが揃う2階、シルバージュエリーやデザイナージュエリーが売られている3階、銀食器やカトラリー、バッグやステーショナリーなどが堪能できる4階……一般人でも購入できる商品が必ずあるところがティファニーの画期的な点です。

 先述の山口氏いわく、パリのヴァンクリーフ&アーペルやカルティエ、ローマのブルガリなどの一流宝石店には、近年まで顧客しか入れなかったそう。つまり、ヨーロッパのジュエラーは、中流階級以下には店舗のドアを“本当に”閉じていたのです。

『メラニーは行く!』
女子の憧れ、貸し切りプロポーズ! 映画『メラニーは行く!』より - Buena Vista Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 映画『メラニーは行く!』(2002)では、リース・ウィザースプーンが演じるメラニーが恋人のアンドリュー(パトリック・デンプシー)にティファニーでプロポーズされるシーンがあります。一般人のプロポーズにティファニーがここまで協力してくれるかは謎ですが、ティファニーは恋人たちの味方という認識が公に浸透している証拠ですね。

1ドル札の印章に関わった!?

 アメリカンジュエラーとして、ホワイトハウスにも深く関わってきたティファニー。1ドル紙幣の印章の改訂や、自由の女神像完成式典の招待状など、国事にまつわる作品を担当してきました。ホワイトハウスのレセプションルーム、ブルールームの内装の一部や、大統領とファーストレディのギフトや食器にも、ティファニー製が重用されてきたのだとか。

gift
トランプ大統領就任時、メラニア夫人からミシェル・オバマ夫人へのギフトもやっぱりティファニー! - Mark Wilson / Getty Images

 アメリカンジュエラーとして初めてヨーロッパの王室御用達になり、社会階級をこえて人々に愛されるティファニーだからこそ、自由の国アメリカを彩るのにふさわしいのでしょう。

ヘンリー王子の婚約指輪はティファニーリングにそっくり!?

 2018年5月19日(現地時間)にイギリス王室史上初めての、アフリカ系アメリカ人プリンセスになるという女優のメーガン・マークル。ヘンリー王子は、自らデザインしたスリーダイヤモンドリングを婚約指輪として彼女に贈りました。中央の大きなダイヤモンドは王子がよく訪ねるボツワナで購入し、そのダイヤを挟む2つのダイヤは故ダイアナ妃のパーソナルコレクションから使用されたものだそう。

 なんとこのリング、20世紀半ばに作られたティファニーのヴィンテージリングによく似ているというのです。

婚約指輪
こちらがウワサの婚約指輪! - Karwai Tang / WireImage / Getty Images

 婚約指輪はカスタムメイドするのが英国王室の伝統。故ダイアナ妃がサファイアとダイヤの婚約指輪をイギリスの有名な宝石店ガラードから選んだ時には、既製品を買うのは王室には珍しいとメディアに大きく取り上げられました。

 親から子へ贈るベビーギフト、本物を身につける喜びを知るファーストジュエリー、大切な人との愛をつなぐエンゲージメントリングマリッジリング、人生を刻むプレシャスウォッチ……。一生における節目の輝きを、よりいっそう際立たせるティファニーの魔法は『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーがこうまとめます。

『ティファニーで朝食を』
映画『ティファニーで朝食を』より - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 「レッドな気分になった時は、タクシーに飛び乗ってティファニーに行くの、そうすればすぐ治るわ。あそこには不幸なんて一切ないの」。

【参考】
TIFFANY & Co. 公式サイト
世界文化社 別冊家庭画報「世界で一番愛されるジュエラー ティファニーのすべて」
CCCメディアハウス 「pen ティファニーと歩く、男のニューヨーク」No.419 2016
新潮文庫 山口遼著「ジュエリーの世界史」
ERSTWHILE Jewelry
The Telegraph
DAILY NEWS

此花さくやプロフィール

此花

 「映画で美活する」映画美容ライター/MAMEW骨筋メイク(R)公認アドバイザー。洋画好きが高じて高3のときに渡米。1999年NYファッション工科大学(F.I.T)でファッションと関連業界の国際貿易とマーケティング学科を卒業。卒業後はシャネルや資生堂アメリカなどでメイク製品のマーケティングに携わる。2007年の出産を機にビジネス翻訳家・美容ライターとして活動開始。執筆実績に扶桑社「女子SPA!」「メディアジーン」「cafeglobe」、小学館「美レンジャー」、コンデナスト・ジャパン「VOGUE GIRL」など。海外セレブのファッション・メイク分析が生きがいで、映画のファッションやメイクHow Toを発信中!

 
<これまでの記事一覧>
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