ADVERTISEMENT
映画たて・よこ・ななめ見!

どんな命も大切…人間必要なのはユーモア!

映画たて・よこ・ななめ見!

 ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、伝説的なパントマイマーのマルセル・マルソーの知られざる半生を描いた映画『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』。8月15日の終戦記念日が過ぎ、平和への思いを新たにする時期、ウーマンの2人は一体何を思ったのか。(取材・文:森田真帆)

今回の映画は、8月27日公開の『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』です。

 パントマイムアーティスト、マルセル・マルソーの実録ドラマ。第2次世界大戦下のフランスでレジスタンス活動に身を投じていた彼が、親を殺されたユダヤ人の子供たちをホロコーストから逃そうとする姿を描く。監督は『ハンズ・オブ・ストーン』などのジョナタン・ヤクボウィッツ。『ビバリウム』などのジェシー・アイゼンバーグのほか、クレマンス・ポエジーマティアス・シュヴァイクホファーらが出演する。

ADVERTISEMENT

パントマイムってホンマ最高!

沈黙のレジスタンス
(C) 2019 Resistance Pictures Limited.

村本大輔(以下、村本):マルセル役の俳優さんはめちゃくちゃお芝居上手やったけど、やっぱりパントマイムのテクニックはいまいちやったなぁ。

中川パラダイス(以下、中川):そんなん、まだあの人若かったんやから、その頃のテクニックに合わせとったんとちゃうん?

村本:いや、だってマイケル・ジャクソンが尊敬してたってくらいの人やで。伝説的なパントマイマーなんやから、そら上手やないとおかしいやろ!

中川:まぁまぁ、そらそうやけど。

村本:でもそれは仕方ないねん。だって、それは俳優さんがよく漫才師役を演じるのと同じでさ、やっぱり数十年毎日のようにやってきたことをすぐに身につけられるもんじゃないからさ。そこはめっちゃ上手い方がおかしいと思うねん。

沈黙のレジスタンス
(C) 2019 Resistance Pictures Limited.

中川:僕はそこまでパントマイムのことは気にならんかった。それにこの人『グランド・イリュージョン』に出てた人やん。あのときもマジシャンの役やったから、あんまり不思議な感じはせんかったわ。

村本:とはいえ、パントマイムっていうのはホンマに最強やって思ったわ。自分やったら何ができるんやろってめっちゃ考えたけど、あれだけ親が殺されて、心が殺されてしまっている子供たちを笑かすって大変やと思うからさ。多分、スタンダップのネタを話したところで難しいやろ。だから、パントマイムって子供たちが純粋に面白いって思えるからえんやろな

ADVERTISEMENT

芸人とはアーティストである

沈黙のレジスタンス
(C) 2019 Resistance Pictures Limited.

村本:この前聞いたんやけど、吉本って戦争の時に、兵隊のところに慰問に行って、兵隊の前でネタやったりしていたんやって

中川:そりゃ107年間の歴史があるからなぁ。災害のときも、吉本芸人みんなで募金したりしてね。僕も実は似たような経験があって。なんでもやりますみたいな、なんでも屋さんをしていた時に、ある家族のお父さんが末期癌で入院している病院にネタをしに行ったんよ。1時間くらい、お父さんの前でネタをしたら、めっちゃ笑ってくれて、僕が帰った後、だいぶ前向きになってくれたって。僕の笑いで少しでも前向きになってくれたことがうれしかったわ

村本:やっぱりさ、つらい気持ちの人を笑わせるってめっちゃ大変やねん。だからこそ、みんなやりたがらなかったりする。この映画の、マルセルだって最初はそんなんしたくないって、すごく嫌がってたやん。でも、子供たちの笑い声を聞いたときに、彼らの心を動かしただけじゃなくて、自分の心も動いてんねんな。その感覚は、オレも何回も味わっていて、テレビで笑いをとるのとは全く違う感動やねん。どこか自分自身が救われるというかね。ヒューマンって、ユーモアっていう言葉からきているっていうけれど、人間ってやっぱりユーモアが大事なんやなって思う

ADVERTISEMENT

殺していい命なんてどこにもない

沈黙のレジスタンス
(C) 2019 Resistance Pictures Limited.

中川:今回の映画は何が恐ろしかったって、やっぱりナチスってすごく恐ろしいなって改めて思ったわ。うちの子もそうやけどさ、今の子供ってみんなYouTubeばっかり観ているから、知識量がすごいんよ。そう考えるとヒトラーみたいなヤツが1人出てきて、もしも人気ユーチューバーとかになったらほんまに怖いなって。ただその善悪をきちんと判断させられるかどうかが、親としてやらばければいけないことなんやけどな。

村本:そうやねん。最近あるYouTubeが炎上していたけど、あれだってまさにヒトラーの優生思想そのものやで。あの発言を聞いたらさ、共感するヤツがいるやろ、それで共感するヤツの中に暴力的なヤツがいるかもしれないやろ。そういうヤツがもしかしたら河川敷で寝ている浮浪者の人に石を投げたり、殺したっていいやって思ったりするヤツが出てくるかもしれん。そういうときが一番怖い。一体誰が責任を取るんやって話。間接的な犯罪者っていう自覚を持ってほしい。

中川:たしかにこの映画を観たら、ヒトラーが言い始めた過激な思想がドンドン広まっていって、親衛隊の中尉みたいな人を生み出したのがわかるもんな。

村本:ユダヤ人だけじゃないって、この映画の中でも出てるけど、ロマ人っていう浮浪の民の人たちもたくさん殺されてんねん。浮浪者は汚いし臭いからいらない命って思うのは、ホンマに危険な考え。だって、そのホームレスの人たちも家族がいて、友だちがいる。お前にとって必要じゃないものが、誰にとっても必要じゃないって思うことの想像力の無さと優しさの欠如人間の命を必要なのか、必要じゃないかなんて考えちゃいけない。この映画の通り、救う命のことを考えなければならない。

中川:僕なんてほんまに流されやすい人間やからさ、こういうひどい意見が大きくなったときに、絶対に流されちゃいけないなって思うわ。

村本:この時代に当てはまるいい言葉が出てきたね。「人を殺すんじゃなくて、人を助けたい」。好きな人を殺されたからとか、家族を殺されたからとか、そういうことからの復しゅうじゃなくてさ、1人でも多くの人を救おうという言葉は、終戦記念日を迎えたばかりの今だからこそ響く映画やと思うわ

※記事内容には個人の意見が含まれています。

『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』8月27日公開
映画『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』公式サイト
(C) 2019 Resistance Pictures Limited.

ADVERTISEMENT

ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT