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ダニエル・クレイグ版ボンドだからこそのラストに感動…『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』など10月の5つ星映画

今月の5つ星

ノー・タイム・トゥ・ダイ
(c) 2021 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.

 『007』シリーズ最新作から岡田准一が土方歳三にふんした時代劇、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF大作、ブギーマンが再び街を恐怖に陥れるホラー、そしてコロンビアの内戦を背景に描くサバイバルドラマまで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが10月の5つ星映画5作品だ!

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ダニエル・クレイグ版ボンドだからこそのラスト

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』10月1日公開

 15年にわたって6代目ジェームズ・ボンドを務めてきたダニエル・クレイグによる最後の『007』映画は、2時間44分という大長編ながら体感時間は一瞬。シリーズ初のアメリカ人監督となったキャリー・フクナガは、ホラー、ドラマ、ユーモア、ラブストーリー、そして思わず身を乗り出してしまうようなアクションの連続でダニエルの最後の花道を彩った。

 #MeTooムーブメント後初の『007』映画という点では、前作からの続投となったレア・セドゥに加えて、ラシャーナ・リンチアナ・デ・アルマスら“ボンドガール”たちも今までになく個性的で魅力的。約60年にわたって続くシリーズに敬意を示しながらボンドを取り巻く世界を変えることで、今の時代に合ったものに作り変えている。起用当初は「見た目がボンドらしくない」と大バッシングを受けながらも新たなボンド像を確立し、唯一無二の007となったダニエル。エモーショナルなラストは、そんな彼へのはなむけになっている。(編集部・市川遥)

淡々とつづられる土方歳三の壮絶な生涯!

燃えよ剣』10月15日公開

燃えよ剣
(c) 2021 「燃えよ剣」製作委員会

 歴史小説の大家・司馬遼太郎のベストセラー小説を、『関ヶ原』『日本のいちばん長い日』などの原田眞人監督と岡田准一がタッグを組んで映画化。柴咲コウ鈴木亮平山田涼介伊藤英明らが共演した。田舎のバラガキ(ならず者)でしかなかった土方歳三が、動乱の時代に信念を貫き続けた壮絶な生涯を描いている。

 幕末の京都、新選組の結成と内紛、池田屋事件、大政奉還、戊辰戦争……。数々の事件の淡々とした映し方とは対照的に、土方の心の中で燃える闘志の炎は激しく観客を巻き込んでいく。土方の人生を共に歩んだかのような疲労感を覚える没入感のある演出だ。日本を代表する俳優の一人となった岡田の「土方としての生きざま」は圧巻で、目にもとまらぬアクションも見事。波乱万丈の人生を彩る登場人物たちと土方との絡みは役者たちの名演が光っているが、特に山田演じる沖田総司との描写には男らしさと息を呑む美しさが詰まっていて、心を奪われる。(編集部・海江田宗)

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美しすぎる世界観に身震い…不可能を可能にした傑作

DUNE/デューン 砂の惑星』10月15日公開

 『メッセージ』『ブレードランナー 2049』で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、映像化困難と謳われたフランク・ハーバートのSF小説を映画化。覇権争いが激化する砂の惑星アラキスを舞台に、過酷な運命を背負う青年ポールの成長譚が展開する。アブダビの砂漠で撮影されたアラキスの壮大な風景は、CGを極力使わないヴィルヌーヴ監督のセンスが光る。そこに生息する巨大生物サンドワームもおぞましい見た目だが、どこか神々しい。ティモシー・シャラメを筆頭とする主役級キャストのアンサンブルも見事で、全員に輝く瞬間が与えられている。

 監督の真骨頂といえる宇宙船の造形から、東洋と西洋の文化を融合させた建造物のディティールまで、原作を敬愛する監督のこだわりが詰まった世界観は、あまりに美しすぎて身震いするほど。原作出版から時代を経て、映像化が不可能だった描写を可能にしたヴィルヌーヴ版『DUNE』は傑作と呼ぶにふさわしい。(編集部・倉本拓弥)

本当に怖いのはブギーマンか人間か

ハロウィン KILLS』10月29日公開

 殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズがハロウィンの夜を血に染めた映画『ハロウィン』(2018)の続編となる本作は、業火の中から生還したマイケルが人々を恐怖に陥れる。マイケルは、自分を助けようとした消防隊員たちを次々と殺すなど、凶悪さと不気味さがパワーアップ。やりたい放題の凶行を止めようとする者が現れ、“ブギーマン”の物語は新たな展開を迎える。

 前作では、ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)とマイケルの対決が中心だったが、本作では街全体がマイケルの恐怖にのまれ、人々の恐怖は狂気へと変わり、本当に怖いのはブギーマンか人間そのものなのかわからなくなる。また、1978年版の『ハロウィン』の後に何が起こったのか、知られざるマイケルと街の過去も描かれ、シリーズものとして新たな発見も。3部作の2作目ということで、次作でどのように完結するのか、期待と恐怖に包まれる1本だ。(編集部・梅山富美子)

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寓話として描かれる、暴力に支配されたカオスな世界

MONOS 猿と呼ばれし者たち』10月30日公開

 アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表にも選出された話題作。冒頭、天空に浮かぶ幻想的な湿原に、ゲリラ組織の兵士として訓練された年端もいかない少年少女が姿を見せる。牧歌的な雰囲気も束の間、半世紀にわたって続いた同国の内戦を背景にした、暴力による恐怖に支配された身もふたもない世界が描かれていく。人質の監視を命令されていた彼らの生活は、刹那的な感情や軽率な行動により最悪の状況に陥る。果ては敵の襲撃を受けたことでジャングルの奥深くまで追われ、恐怖は頂点に達する。

 俗世から切り離された世界は現実離れしており、時代や特定の場所を超えた寓話のようだ。観客はどこへ転がるかわからない事態を体験することで、少年少女たちと同じ狂気に彩られた混沌へと放り込まれる。この寓話が示すものは、いかにして暴力に支配された世界を正視し、正気を保つことができるかということ。それは私たちの暮らす世界とも無関係ではないメッセージとなっている。(編集部・大内啓輔)

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