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コモンウェルスの創立記念日に立ち込める暗雲!

今週のウォーキング・デッド

 最終シーズン全24話のうち、早くも18話! エピソードタイトル「ア・ニュー・ディール」は文字通り“新たな取引”のこと。コモンウェルスとの新たな取引が、大きな波乱を招くことになる……!? (文・平沢薫)

※ご注意 この記事は「ウォーキング・デッド」シーズン11についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。

今週のウォーキング・デッド~シーズン11第18話「ア・ニュー・ディール」

 前回同様、今回もオープニング・タイトルの前に、過去の名シーンを振り返る映像が。前回は「生き延びた人たち/闇に屈した人たち」編だったが、今回は「いなくなった人たち」編。名場面の数々を観ていると、いろんな出来事が思い出される。最終シーズンにふさわしいこの演出は、最終回まで続きそうだ。

キャロル
コモンウェルスのミルトン知事に取引を提案したキャロルの思惑とは。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 今回は、ストーリーが大きく動き出すエピソード。その中でもサプライズなのは、主人公たちが「彼らが出会った集団を変化させることなく、その集団を去る」という選択をすること。キャロル(メリッサ・マクブライド)がコモンウェルスのミルトン知事(ライラ・ロビンズ)に、新たな取引を提案する。その内容は、ダリル(ノーマン・リーダス)たちが捕らえたホーンズビー副知事(ジョシュ・ハミルトン)の身柄をミルトン知事に渡し、その代わりに、アレクサンドリアなどのコミュニティーを再建する援助を受けるというもの。ミルトン知事は、ホーンズビーをすべての悪事の犯人にして、息子セバスチャン(テオ・ラップ=オルソン)を無罪にするという計画だ。

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マギー
キャロルの提案にダリルやマギーも受け入れるが……果たして。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 この取引は、現実家のキャロルらしいが、知事が人々にウソをつくことを前提としたものなので、ダリルやマギー(ローレン・コーハン)が受け入れるとは、ちょっと意外。彼らが、問題のある集団をそのまま放っておくのも意外。これまでも、シーズン3でミショーン(ダナイ・グリラ)が総督(デヴィッド・モリッシー)の支配する集団から去るなど、単独の人物が集団を変化させずに去る場合はあったが、主人公たち全員が暮らしていた集団からそのまま去ったことはなかったのではないか。最終シーズンでも“シリーズ初”があるのが「ウォーキング・デッド」らしい。

ダリルとジュディス
コモンウェルスを去ることをダリルに問うジュディス。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 その中で、まだ少女のジュディス(ケイリー・フレミング)だけが「ここの人たちを助けないの?」とダリルに問いかける。さすがリック(アンドリュー・リンカーン)の娘。リックならこの取引には応じないのではないか。とはいえ、きっとこれからいろいろあって、結局いつものように、ダリルたちがコモンウェルスの変革に関係していくことになりそうだが……。

 また、この取引時に、コモンウェルスに残ることを選ぶのがエゼキエル(カリー・ペイトン)で、残りたそうなのがニーガン(ジェフリー・ディーン・モーガン)なのも意外な展開。エゼキエルが、病のため死を覚悟した後に手に入れた第2のチャンスを生活かしたいというのも納得。ニーガンが、生まれてくる子供の安全のために心が揺れるのも納得。とはいえ、自尊心の高い2人がこの居場所を選ぶ(選びそうになる)とは、この意外さも「ウォーキング・デッド」ならではの心理描写か。心理といえば、知事の放蕩(ほうとう)息子セバスチャンにはかつて後継者と目されていた兄がいて、そのことで屈折した思いを抱いていたことも判明。わがまま息子にも事情があった。

エゼキエル
コモンウェルスに残ることを選ぶエゼキエルの心境も理解できる。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 逆にサプライズではなかったのは、大規模な祝賀イベントが、悲惨な結果に終わること。ミルトン知事が、明日は創立記念日だと発言するだけでイヤな予感がしてくるのは、シーズン9第15話「裏切りの代償」で他のコミュニティーの人々を招いて王国で開催されたフェアを思い出してしまうから。あの時、“囁く者たち”が行った行為の結果は、あまりにも衝撃的だった。そしてやっぱり今回も、イヤな予感は的中する。

 このイベントで、ユージーン(ジョシュ・マクダーミット)の恋人マックス(マーゴット・ビンガム)が盗み録りした、セバスチャンがコモンウェルスの真の仕組みを語る音声を公表、人々が知事と息子を非難する。同時に、ホーンズビーの指示で手下が殺したイベント設営担当の人々が、ウォーカーと化して祝賀イベントに乱入し、会場は大混乱に陥る。

ユージーン
コモンウェルスの真の仕組みを語る音声を公表するユージーン。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 ここで明らかになったのは、ホーンズビーがすでに自分が捕まる事態を想定して計画を立て、部下に指示していたこと。ホーンズビーの計画の全体像はまだ見えないが、彼がコモンウェルスのリーダーになることを狙っているなら、マックスの暴露によって人々が知事に不満を抱いたことは、ホーンズビーには好都合だろう。はたして彼は、これからどう動くのか。シーズン11パート3は権力闘争ドラマの様相を帯びてきた。

 そんなドラマの中でも小ネタはあり。創立記念日のプロレス大会で勝つレスラーを演じているのは、アメリカのプロレスの団体のWWEではニック・マクニール、NXT(WWEの番組)ではパーシー・ワトソンというリングネームで活躍した元人気レスラー(現在はテレビなどで活躍する俳優)。

ミルトンとセバスチャン
予想だにしない衝撃展開がミルトン知事(右)と息子セバスチャンに起こる。「ウォーキング・デッド」シーズン11第18話より -(C)2022 AMC Film Holdings LLC. All rights reserved.

 また、ダリルがジュディスの居場所を聞いた時にRJ(アントニー・エイゾー)が読んでいるコミック「Invincible」は、兄カール(チャンドラー・リッグス)の愛読書。シーズン4第1話「嵐の前の静けさ」で物資調達から戻ったミショーンがお土産にカールにコミック数冊を渡し、シーズン5第12話「居住審査」ではカールがコミックを読んでいる。ここまでは表紙がよく見えないが、シーズン6第10話「ジーザスと名乗る男」でカールが恋人イーニッド(ケイトリン・ネイコン)と森に行った時に読むコミックは表紙が見えて、それがこのコミック。RJは兄のコミックを読んでいるのだろう。ちなみにこのコミックは実在のもの。「ウォーキング・デッド」の原作コミックの作者ロバート・カークマンによるスーパーヒーロー・コミックで、アニメ化作品「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」も Amazon Prime Video で現在配信されている。

 さて、ホーンズビーの動向に加えて気になるのは、オーシャンサイドに向かったアーロン(ロス・マーカンド)たちや、アレクサンドリアに戻ったマギーの今後。彼らはどんな事態に直面するのか。さらに、前話で町に接近していたウォーカーの大群も近づいて来ているはず。次回はいったい何が起きるのか、まったく気が抜けない。

「ウォーキング・デッド」ファイナル・シーズン最終章はディズニープラスのスターで独占配信中

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