「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」シーズン3第1話:いきなり事件多発!ダリル&キャロルがスペイン上陸
今週のウォーキング・デッド

「ウォーキング・デッド」の人気キャラクター、ダリル(ノーマン・リーダス)とキャロル(メリッサ・マクブライド)のその後を描くスピンオフ「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」シーズン3の日本配信がスタートした。舞台がスペインへと切り替わる第1話「死の海岸」からイベントが続々だ。(文・平沢薫)
※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン シーズン3」第1話をまだ観ていない方はご注意ください。
フランスを離れ…英国で唯一の生存者に遭遇
ついに始まったシーズン3のクリエイターは、これまでと同じデヴィッド・ザベル。フランスが舞台のシーズン2は、エピソードタイトルがすべてフランス語だったが、このシーズン3はスペインが舞台で、タイトルもすべてスペイン語。第1話「死の海岸」は、原題「コスタ・デ・モルテ(Costa Da Morte)」の直訳。スペインのガリシア州にも難破事故の多発からこの名で呼ばれる海岸があるが、この題名は特定の地域を指すものではなく、ダリルとキャロルがこれから出会う出来事を暗示するものだろう。
しかしその海岸に着く前に、ドラマは英国で幕をあける。前シーズンの最終話「さようなら 子供たち」のラストは、2人が英仏海峡トンネルを進んでいくところだったが、無事、英国に到着したようだ。今回は英国の物語なので、監督は英国出身のダニエル・パーシヴァル。彼は本作のシーズン1から製作総指揮に参加してきたので、準備は万端。英国ならではの電話ボックスやバスにウォーカーを絡ませ、ロンドンの英国国会議事堂のビッグ・ベンの鐘の音をウォーカーの誘導に使ってみせる。
それ以上に英国らしいのが、同国唯一の生存者ジュリアン・チェンバレンを演じる、英国のコメディアン・俳優・監督のスティーヴン・マーチャント。彼は英国の会社員気質を描いて大ヒットして、アメリカ版も製作されたコメディードラマ「ジ・オフィス」(2001~2013)のクリエイター。フローレンス・ピュー主演で英国の女子プロレスラー一家を描いた映画『ファイティング・ファミリー』(2019)では監督・脚本・出演を兼任。俳優としても活躍し、『LOGAN/ローガン』(2017)で老いたウルヴァリンと一緒に暮らすミュータント・キャリバン役も印象的だった。
そのマーチャントが演じるからだろう、最後の英国人チェンバレンは、いかにも英国的なユーモアたっぷりのおしゃべりなのに、言葉の端に複雑な内面を感じさせて、過去にとんでもない体験をしているのではないかとも思わせ、その悲劇的な死も含めて、忘れ難い人物になった。
ちなみに、彼が自分の名前を名乗る時に「ネヴィル・チェンバレンとは血縁じゃないよ」と言うネヴィル・チェンバレンとは、1937年から1040年に首相を務めたナチス・ドイツに対する宥和(ゆうわ)政策で知られる人物。米国人のダリルとキャロルは、この名前を聞いてもまったくピンとこないようだ。
スペイン上陸も…さっそく危険な集団が出現
大海原の上、アメリカへ向かうボートで描かれるのが、ダリルとキャロルの絆を描く名シーン。波も静かな夜の海では、キャロルは英仏海峡トンネルで死んだ娘の幻影をみて、娘の死から解放されたことを語り、ダリルはそれを一緒に喜ぶ。そして、船を転覆させそうな嵐の中、死を覚悟したキャロルが、風に負けない大声でダリルに言う「何が起きても、再会できてよかった」という言葉。また、上陸してからも、ダリルがキャロルの傷を治療しながら言う「あんたにウソはつかない」に、キャロルが「でも隠すでしょ」と返すと、「まあな」と認める。こうした2人の真っ直ぐに気持ちを語るやり取りが、胸を熱くする。やはり、このシリーズの核にあるのは、2人の絆だ。
その嵐を経て、「死の海岸」にたどり着いた2人には事件が続く。ウォーカーと化したチェンバレンの死。キャロルの負傷。そしてどうやら、ここには複数の危険な集団がいるようだ。夜、ボードから物資を略奪した集団と、昼、ダリルが見たジープに乗った男たち。どちらも好戦的に見えるが、彼らはどんな集団なのか。2人が森の中で見た、ウォーカーたちを網に入れて樹木に吊るしているのは誰なのか。また、目覚めたキャロルが聞いた物音には、女性の声が混じっているようだったが、それは彼らと同じ集団なのか。そして、姿を消したキャロルに何が起きたのか。
第1話から多数の謎が投げかけられたが、すでにこのシリーズは次のシーズン4が最終シーズンになることが発表されている。全7話のシーズン3では、ダリルとキャロルの旅はどの方向に向かい、どこまで進むのか。まずは2人のスペインでの旅を見届けなくてはならない。
「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン シーズン3」はU-NEXTで独占配信中(全7話、毎週月曜日に1話ずつ追加)
(c)2025 Stalwart Productions LLC.


