衝撃と涙…今、映画館で観たい心に刺さる4本
提供:4社合同企画
夏が終わり、センチメンタルな気分になる初秋シーズンにぴったりな4本をご紹介。ハリウッドのスターたちがこぞってプロデューサーに名乗りを上げた涙の実話から、世界を熱狂させるミュージシャンの“歴史的瞬間”を捉えたドキュメンタリー、52年もの間人々に愛されたとある公共施設の終焉を見つめた異色作、音楽を禁じられた街で起きた実話に基づく衝撃の22分……劇場での鑑賞マストのラインナップです。
『ヒンド・ラジャブの声』(9月4日公開)
提供:スターキャットアルバトロス・フィルム
助けを求め続けた少女の実話に基づく、言葉を失う衝撃の89分
ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、アルフォンソ・キュアロン、ジョナサン・グレイザー、マイケル・ムーア、スパイク・リー……ハリウッドの名だたるスターや映画監督がチュニジアの気鋭カウテール・ベン・ハニア監督の思いに賛同し、こぞってプロデューサーに名を連ね、支援した本作。2024年1月29日に実際に起こった6歳の少女ヒンド・ラジャブを巡る事件の顛末を描くもので、言葉を失う衝撃作。第82回ベネチア国際映画祭では23分ものスタンディングオベーションが巻き起こり、銀獅子賞(グランプリ)を含む8冠を達成。第98回アカデミー賞では国際長編映画賞ノミネートを果たすなど、世界が注目する一作だ。
物語の舞台となるのは、ヨルダン川西岸地区にある人道支援組織の緊急通報センター。そこに届いたのは、銃撃を受ける車中にいる6歳の少女ヒンド・ラジャブ・ハマダからのSOS。少女と人道支援組織「赤新月社」のスタッフのやりとりは当日に記録された70分に及ぶ肉声に基づくもので、少女が「はやくおむかえにきて」「じかんがないの」と必死に助けを懇願する声、電話越しに聞こえる銃撃音に胸が張り裂けそうになる。
追い打ちをかけるかのようにセンターのスタッフたちを焦らせるのが、救急車から少女のいる車までわずか8分の距離であるにもかかわらず、救出に向かうには気の遠くなるような調整や手続きが必要であること。さらに、少女の側の様子がまったく映し出されないことから、観客はスタッフたちと同様に少女との通話から状況を想像するしかなく、一進一退を繰り返しては不安に揺れるスタッフたちの心理描写、緊迫感みなぎる演出はとても芝居とは思えないリアリティー。まるでセンターに居合わせるかのような錯覚に陥り、まさに映画館で観るための映画といって過言ではない。
映画批評サイト、ロッテントマトでの評価は批評家が93%、そして観客は何と100%の評価(8月20日時点)。著名人の絶賛も相次ぎ、オスカー俳優・マハーシャラ・アリは“今まで観たことがない映画だ。時を超える作品である。私の使命はこの映画を世界へ広め届けること。それほどの重要作だ”、ドキュメンタリー作家のマイケル・ムーア監督は“生涯を通じてこれほど衝撃的な作品はない。絶対に必見。ハニア監督は、フィクションとノンフィクションを組み合わせる非常に心打たれる深みのある手法を見出した”と力強い声をあげている。なお、本作の日本国内配給による収益の一部は、少女の家族および赤新月社に寄付される。
(C)MIME FILMS - TANIT FILMS
『沼影市民プール』(9月5日公開)
提供:NAKACHIKA
規格外の手法で圧倒!「とあるプールの死」を見つめた愛おしく切ない記録
52年もの間、人々に愛されてきた市民プールが失われていくまでの49日間を記録した本作は、映画を見終えるころには誰もがとてつもない喪失感を味わうはずだ。それは、プールを単なる「公共施設」としてではなく「かけがえのない唯一無二の場所」と見た作り手の思いが込められているから。
ロッカーの扉がパタパタとひとりでに開閉し、まるで施設に命が宿っているかのように見える冒頭からして、本作がただならぬ作品であることを予感させる。物語は、精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスが提唱した、死に直面した人がたどるという5段階の過程=「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」の5章にわたって展開。間もなく取り壊されるとは思えないプールの賑やかな日常を追いつつも、一方で「余命●日」のテロップが差し込まれ、「死」が刻々と迫る容赦ないカウントダウンに胸を締め付けられる。
とにかく、ドキュメンタリーの枠を超えた大胆な試みから目が離せない。さまざまな目的でプールを訪れる人々、それを迎える熱意あふれる職員たち、プール存続を訴え行動を起こす人々、プールの歴史を見守って来た地元の人々……。その視点はカメラが次にどこに向かうのかと予想がつかないほど多岐にわたり、時には「記録」ではなく「演技による再現」として、一人の独身男性に密着。思わぬ出会いを果たすさまに、このプールの尊さを目の当たりにし、物語が進めば進むほど、「なぜ壊されなくてはならなかったのか」という思いが強くなる。プールの跡地に建設される予定だった義務教育学校の建設予定が立っていないことも、こうした問題が各地で発生しているのではないかと思わせる。
監督は、友人の自死と向き合い制作した映画『わたしたちに許された特別な時間の終わり』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2013をはじめ、世界12か国で上映されるなど国内外で注目を浴びる太田信吾。初監督作で「喪失」というテーマに向き合った彼だからこそ、新たに紡ぐことができた公共施設の「喪失(死)」の物語を、公共空間である映画館で見届ける──。そのひとときは、生涯忘れられない強烈な体験として記憶に刻まれるはずだ。
(C) hydroblast
『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』(9月11日より2週間限定公開)
提供:ディズニー
世代を超えて世界が心酔する兄弟の確執と15年越しの和解にいたるまでの真実…歴史的イベントを全身で体感
時代、国境を超えて愛されるあの名曲「Don't Look Back in Anger」をタイトルにした本作は、イギリスを代表するロックバンド「オアシス」が世界を熱狂に包んだ再結成ツアー「Oasis Live’25」を追った奇跡のライヴ・ドキュメンタリー映画。5つの大陸で200万人以上を動員したこの歴史的イベントを、劇場で全身で体感できる貴重な機会だ。
2024年8月に、満を持して15年ぶりの再結成を発表したオアシス。記念すべきツアー「Oasis Live‘25」は世界各国で完売となり、日本でも2025年10月に東京ドームの2日間で約10万人を動員し“オアシス・フィーバー”を巻き起こした。映画ではオアシスファンならずとも耳にしたことのある楽曲が数多く登場し、熱狂する人々の様子から、まるでライブ会場にいるかのような没入感に酔いしれる。リハーサルやステージ上などツアーの舞台裏のみならず、実に20年ぶりに実現した、リアム・ギャラガーとノエル・ギャラガー兄弟の合同インタビューは目玉の一つだ。
そして明かされる、兄弟の確執と和解の真相……。「リアムとまたやるなんて まだ想像できない」と語るノエル、「あれじゃ終われなかった」と明かすリアム。兄弟が15年ぶりに向かい合って赤裸々に語り合う姿は、世界的アーティストの記録にとどまることなく、兄弟の絆や家族愛を描いた普遍的なヒューマンドラマとして全世代に刺さること必至。
企画を務めるのは、アカデミー賞脚本賞ノミネート歴のあるスティーブン・ナイト。「オアシスのワールド・ツアーは世代や文化、国境といった障壁を越えて人々を結びつけた。そして、この崩れゆく世界に“和解”というメッセージを語りかけたんだ」と語る通り、オアシスの音楽がいかに多くの人々や世代に与えたのか、彼らが“伝説”たるゆえんが本作を通じて、親から子へと語り継がれていくはずだ。
音響を手掛けたのは、ヒット作『トップガン マーヴェリック』でアカデミー賞音響賞に輝いたジェームズ・メイザーとあって、劇場での鑑賞がマストの1本だ。
(C)Simon Emmett
『ノクターン・イン・ブラック』(9月18日より1週間限定公開)
提供:SAMANSA
瓦礫の中でピアノを弾き続けた青年の実話…祈りと希望の衝撃作
ショート映画配信サービス「SAMANSA」と、ヒューマントラストシネマ渋谷がタッグを組んだ話題の新企画「20分シネマ」で上映される本作。配信では観られない世界最高峰のショート映画を、出勤や通学前後、買い物の合間など、カフェに行くような感覚で映画館を利用できる”贅沢なスキマ時間”として好評を博している本企画。6か月連続上映のなか3か月目となる9月に、学生アカデミー賞金メダル受賞の快挙を成し遂げた注目作を上映する。
銃撃音が鳴り響く中、1人の青年が瓦礫の中でショパンのノクターンを奏でる……。とてもフィクションとは思えないリアリティーに満ちた冒頭からして目を奪われる本作は、シリア内戦下において爆撃された街でピアノを弾き続け“ヤルムークのピアニスト”と呼ばれた実在の音楽家アイハム・アフマドをモデルにした物語だ。テロリストに音楽を禁じられながらも密かにピアノを弾き続けていた青年カリムは、ある日とうとうテロリストに見つかりピアノを無残に破壊されてしまう。
唯一の生きがいを絶たれ、一度は音楽の道を捨てようとしたカリムを思いとどまらせたのは、同じく戦禍を生きる少年だった。彼の純粋な心に触れたカリムが自身の葛藤の中で下した決断には、思わず息をのんでしまう。
本作は監督の母国であるレバノンで撮影され、凄惨な戦場や爆破された街並みをリアルに作り込むことを追求。絶望の淵で響くピアノの旋律や緊迫した環境音は、スマホやPCの画面やスピーカーでは決して伝えきれないもので、スクリーンの大画面で観てこそ圧倒的没入感を味わえる。
ラストシーンの青年の強いまなざしは言葉にしがたい余韻を残し、絶望的な状況下でも屈しない人の尊厳、それを支える芸術の尊さを訴える圧巻の22分だ。
(C)Jimmy Keyrouz



