難しい題材をうまく料理した工夫と意欲は買い

2013年7月31日 相馬 学 終戦のエンペラー ★★★★★ ★★★★★

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終戦のエンペラー

 米国がいかにして天皇の戦争責任を追及したのかという、腰が引けかねない題材に取り組んだ製作陣の勇気は、まず評価されるべき。信仰や思想が複雑に絡み合っているので、こういうドラマは難しいものだが、調査を進める米軍将校の視点で話を紡いだのは正解だろう。ともすれば刺々しくなる物語でありながら、この実在の主人公と、架空の日本人女性とのロマンスを絡めた点は、物語をうまい具合にマイルドにしていると思う(これは評価が分かれそうだが)。
 一点気になったのは、この主人公が戦時、日本を爆撃した場所を指示する役職に就いていたということ。戦争の無益さを浮き彫りにするドラマであることは理解できる。欲を言えば、自身の手も汚れているという主人公の認識を示す描写が欲しかった……というのは日本の一観客の欲目だろうか。

相馬 学

相馬 学

略歴:アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況:『コンティニュー』『Mr.ノーバディ』『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』他の劇場パンフレットに寄稿。取材仕事では、デヴィッド・クローネンバーグにお話しをうかがいました。

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