観客に゛痛み゛を疑似体験させる勇気

2014年3月10日 中山 治美 それでも夜は明ける ★★★★★ ★★★★★

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それでも夜は明ける

本年度米アカデミー賞にて作品賞をはじめ3部門制覇。だが今年は、他にも黒人差別を題材にした作品はあった。その差は何か。恐らく本作が最も、虐待の痛みがダイレクトに伝わってくるのだ。それは加害者役にM・ファスベンダーら著名俳優を起用した事が大きい。無名の俳優と違い、彼らの表情がくっきりと我々の脳裏に焼きつき、鑑賞後はいつまでも不快感が残るのだ。
 思えばS・マックィーン監督の作品はいずれも、人間のおぞましいほどの暴力性を容赦なく描き、軽いトラウマを植え付ける程だ。一貫するのは、痛いモノは痛いとしっかり伝えるというポリシー。その監督の趣旨に理解を示し、共犯者となる俳優陣の勇気にも拍手を送りたい。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

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