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ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた (2018):映画短評

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた (2018)

2019年6月7日公開 97分

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた
(C) 2018 Hearts Beat Loud LLC

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

山縣みどり

ユニークでリアル、そして心温まる父娘ドラマ

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

お洒落なブルックリンに住むヒップスターのシングルファーザーと娘の物語だが、「しゃらくせぇ」感は皆無。登場人物はみないい人だし、父娘に起こる出来事も普通に誰にでも起こり得ることばかりでリアル感たっぷり。ミュージシャンになる夢を不完全消化したまま大人になりきれてない父親をN・オファーマンが好演していて、娘役のK・クレメンスとの掛け合いのタイミングに本物の親子感が!! 娘の恋愛の描き方も時代に即していて、好感度高い。父娘が作った設定の歌も耳に残るし、サントラが欲しくなった。T・ダンスンが酒場オーナー役で出演していて、監督はドラマ『チアーズ!』のファンだったのかもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

こんなレコード店が近所に欲しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 娘と父親のいい話でありつつ、音楽の気持ち良さ、楽しさをたっぷり味あわせてくれる。父親が元ミュージシャンで今はレコード店の店主なのだが、そのレコード店が居心地良さそうで、ドラマの進行を追いながらも、背景に店の棚が映るたびに飾ってあるジャケットにいちいち目がいってしまう。閉店セールで全部3ドルで売ることになると、娘があるジャケットを持って「これを3ドルで売っちゃダメだよ」と言ったり、店舗を貸している大家が閉店セールであるアルバムを買ったり、ことあるごとにジャケットを見ずにはいられず、それがまた楽しい。この父と娘が一緒に音楽を演奏するとき、音を出す喜びが思わず顔に出てしまう感じも心地よい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

バンドじゃないもん!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『はじまりのうた』のバッタもんのような副題が付いているが、そこは潜水艦映画ぐらいハズレのないレコ(ード)屋映画! ブルックリンの街角で中古レコ屋を営む元バンドマンの父と、医大を目指すしっかり者の娘とのハートウォームな交流からタイトル曲が誕生する。バンド「バンドじゃないもん!」として、Spotifyでのワンチャン企む父と冷静すぎる娘の温度差も笑えるなか、マイノリティねたもサラリと描かれ、終盤のインストアライブではアラン・モイル監督作ばりのエモさ爆発! 単なるサクセスストーリーに終わらせない着地点も素晴らしく、相手や状況を受け入れることの大切さを教えてくれる良作に仕上がっている。

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森 直人

潮風の匂いがする多様性の町のインストアライヴ

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

実際に同性愛を公言しているカーシー・クレモンズとサッシャ・レインがカップル役で出演。舞台はブルックリン北西部の港町レッドフックで、主人公はいかにも同地にありそうなヴァイナルレコ屋の中年男。彼は白人だが、亡き愛妻はアフリカ系(おそらくはカリビアン)。夢の挫折を引きずった父、自己実現の葛藤を抱える優秀な娘のお話。とてもナチュラルに今っぽい音楽映画という気がした。

店にはクラシックロックの名盤も立て掛けてあれば、スリーター・キニーやアニマル・コレクティヴの話題が出て、スポティファイがかつてのラジオのような使い方をされる。閉店セールの日には涙の名シーン! ばっちりフルで3曲聴かせてくれます。

この短評にはネタバレを含んでいます
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