「羅生門」スタイルで描く、ご近所トラブル

“騒音おばさん”をモチーフに、コミカルかつ「羅生門」スタイルで描くご近所トラブル。導入部こそ、再現ドラマ感が強めだが、ちょっとした勘違いとマスコミ、SNSの力によって、小市民がモンスターに仕立てられる現代社会の危うさを描写し、“常識・非常識とは?”をも問う、社会派エンタメに仕上がっていることに驚きだ。一方で、笑いがブラックに走らない点や賛否ありそうなラストなど、天野千尋監督の優しさや人の良さがダダ漏れしている。そして、公開順は逆になってしまったが、『罪の声』に続いて、いわくつきの母親役がハマる篠原ゆき子。今回スランプに陥った小説家というキャラ設定は、ちょっとズルいかも。