ホドロフスキー初心者はコレを最初に観るべし。

もはや幻同然な70数年前の家族の記憶を、現地に帰って自分の息子らと再現し、映画という幻のメディアで物語る。ファンタジーとリアリティが一体となって輪舞する、まさにタイトルどおりの作品。強権的で無神論者の父親が遍歴を繰り広げたり(本作自体が彼の魂の“治療”でもある)、母親の台詞が全部アリア調だったり(実際オペラ歌手を夢見ていたらしい)…同名の自伝が基だが、使われたのは500頁中、最初の50頁だけ。ぜひ観てから読むべし、監督にとってのリアリティとは如何なるものか、よ~く判って大笑い! その語り口は以前より柔らかで判りやすく楽しいが、過去作すべてにも繋がるイメージの奔流とその速度はやはり他に類がない。