主人公は荒涼とした海岸をどこまでも歩き続ける

鉛色の空の下で、打ち寄せる波も灰の色をしている荒凉とした海岸で、ひとり黙々と貝を拾い集める。風のせいで髪は乱れ、泥で衣類は汚れるが、ひたすら自分の求めるものを追う。そんな主人公が、ただ海を背景に歩き続けていくのを見ているだけで、伝わってくるものがある。この人物が持つ、ある種の覚悟、揺るぎなさを体現できたのは、それを演じる女優ケイト・ウィンスレットも同じようなものを持っているからではないか。
監督の前作『ゴッズ・オウン・カントリー』同様、寒い土地でぬくもりを求める2人の物語だが、今回はそんな2人ですら思いが同じわけではない。しかし、彼らの背後に広がる空の冷たい色はよく似ている。