轟 夕起夫

轟 夕起夫

略歴: 文筆稼業。1963年東京都生まれ。「キネマ旬報」「クイック・ジャパン」「DVD&動画配信でーた」「シネマスクエア」などで執筆中。近著(編著・執筆協力)に、『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』(スペースシャワーブックス)、『寅さん語録』(ぴあ)、『冒険監督』(ぱる出版)など。

近況: またもやボチボチと。よろしくお願いいたします。

サイト: https://todorokiyukio.net

轟 夕起夫 さんの映画短評

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  • クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド
    アメリカン・ロックの“雄”の、最初で最後の大勝負
    ★★★★★

    1960年代後半の音楽シーンを語る上で、ルーツロックへの回帰は外せない。その意味でもなかなか貴重なドキュメンタリー。西海岸出身ながらサザン・ロックへと傾倒したCCRの来歴と、キャリアの頂点とも呼ぶべき1970年の“欧州ツアー”を追ってゆく。

    後半、ロイヤル・アルバート・ホールでの伝説ライヴが収められているが、英国はとりわけブルース・ロック流行りだったわけで、そこに本国から乗り込んでいった構図だ。「雨を見たかい」(Have You Ever Seen the Rain?)をリリースする前なのだが、「プラウド・メアリー」を筆頭に名ナンバー揃い。ジョン・フォガティのワイルドな歌声に改めて鷲掴みに。

  • ほつれる
    心の縫い目や編み目が、見えてくるかのよう
    ★★★★

    一般に「縫い目や編み目などがほどける」「まとめてあった糸や髪などの端が乱れる」ことを“ほつれる”というが、この映画の場合は完全に、対人関係における心のほつれの謂い。人間関係ほど広くはなく、特定の個人との、どこまで行っても不確かな結びつき、係わり合いに焦点が当てられている。

    オリジナル脚本を練り上げ、演劇界のみならず映画の世界でも早くも自分の“タッチ”を持ちつつある加藤拓也監督。他人事を自分事のように擬似体験させるが、前作『わたし達はおとな』(21)とはまた違ったアプローチ。見せる光景と見せない状況の選択具合が巧みだ。出演者は皆、達者だが、久々に“飛び道具”として活用された古舘寛治を味わった。

  • 禁じられた遊び
    「平成の貞子」ならぬ「令和の美雪」の誕生
    ★★★★

    そうか。かのルネ・クレマン監督の不朽の名作と同タイトルなのは「お墓のシーンが重要!」ってことなのか(原作由来)。恐怖ムービーにしてトンデモ系のはっちゃけた面白さを確信犯でやり通したエンタメホラー。ダブル主演、橋本環奈も重岡大毅も「求められたアクションとリアクション」をよく分かって表象している。

    人間の“嫉妬と憎悪”を背負った新ホラーアイコン、第三形態まである「美雪」と、それを肉体化したファーストサマーウィカ寄りに、いつの間にかなってしてしまう。「平成の貞子」ならぬ「令和の美雪」の誕生だ。中田秀夫監督にはJホラーのオリジネーターの意地と、それを更新してやろうという意志を感じた。

  • シン・ちむどんどん
    『仁義なき戦い』シリーズ的に言えば「沖縄死闘篇」だ!
    ★★★★★

    約半年スパンでまさかの第2弾登場! ラッパーのダースレイダーと時事芸人のプチ鹿島、野次馬風情の“選挙漫遊コンビ”が飛び込んだのは復帰50周年の沖縄。つまりは昨年9月の沖縄県知事選だ。巨大米軍基地のあるそこには日本の諸問題が煮詰まっている。

    今年、再取材で追加撮影された箇所に注目。野次馬が単なる“野次馬”ではいられなくなるのだ。同じく恐ろしいスピード感で連打された『仁義なき戦い』シリーズ的にサブタイトルを付けるなら、「沖縄死闘篇」だろうか。プチ鹿島の寸鉄人を刺す質問力に笑い、ダースレイダーの渾身のフリースタイルラップに涙し、そして、踏みにじられ続けている民主主義の“命”に思いを巡らす。

  • コンサート・フォー・ジョージ
    ジョージ・ハリスン生誕80年記念、必見のライブ!
    ★★★★★

    確認するまでもなくレジェンダリーなミュージシャン、ジョージ・ハリスンの功績は「ザ・ビートルズの一員だったこと」だけではない。その自明の事実は、ジョージが亡くなってからちょうど1年後、2002年の命日に開かれたこのトリビュートコンサートも証明している。

    盟友エリック・クラプトンや師匠ラヴィ・シャンカールを始め、ロック史、インド音楽史、さらには映画史やコメディ史(トム・ハンクスがサプライズ参加したモンティ・パイソン)に名を残す人々がその足跡を称えて参加。むろんリンゴ・スターにポール・マッカートニーも! ポールの歌う「フォー・ユー・ブルー」「サムシング」ほか、ジョージの楽曲に胸が熱くなる。

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