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ヒプノシス レコードジャケットの美学 (2022):映画短評

2025年2月7日公開 101分

ヒプノシス レコードジャケットの美学
(C) BMG Rights Management (UK) Ltd and Hipgnosis Songs Fund Ltd 2022. All rights reserved. (C) Cavalier Films Ltd

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

轟 夕起夫

最後の“ポー”の後ろ姿……ある種“挽歌”なドキュメント

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

いささか演出過剰に冒頭、「ヒプノシス」のオーブリー・“ポー”・パウエルが無数のアートワークを束ねて背負い、墓地を通って登場する。大仰だと思うが屋敷に入り、それらを取り出して、ピンク・フロイドを筆頭に並み居るアーティストと歴史的な傑作アルバムジャケットの秘話が始まるや、そんなことはすぐに忘れる。

斬新なアイデアと、具現化してきた驚きの制作スタイル。だが映画が終わる頃には悟る。そうした冒険、コントロールフリークぶりはもはや許されない。相棒のストーム・トーガソンはこの世にいない。ある種“挽歌”なドキュメント。アートワークを結んだ紐が“十字架”を連想させ、最後の“ポー”の後ろ姿はちょっと泣ける。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

音楽シーンの移り変わりも見えてくる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ピンク・フロイドの『原子心母』のジャケットで知られるデザイン集団"ヒプノシス"の歴史を、創設当時24歳と22歳だった創設者コンビ、故ストーム・トーガソンとオーブリー・パウエルを中心に描く。現在のパウエルが登場、各時代を振り返る発言も多数。
 そういう映画が、2人の人間の物語を描きつつ、68年から現在に至る音楽シーンの変化を描く歴史物にもなっているのは、監督がミュージシャンを撮る写真家出身で、ジョイ・ディヴィジョンを描く映画『コントロール』の監督でもあるアントン・コービンだからだろう。ジャケットが変わり、音楽のタイプが変わり、ポップミュージックの持つ意味が変わっていくさまが浮かび上がってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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