たべっ子どうぶつ THE MOVIE (2025):映画短評
たべっ子どうぶつ THE MOVIE (2025)
ライター3人の平均評価: 3.3
世界に挑む、“お菓子版『シュガー・ラッシュ』”
バラエティに富んだ声優陣やら、冒頭「ギンビス」ロゴから始まるアイドル・ライブシーンからして一発ネタ映画かと思いきや、ディズニー/ピクサーなどに喧嘩を売りまくる、彩り豊かな“お菓子版『シュガー・ラッシュ』”。しっかり練られたストーリー展開に驚愕するなか、『ソニック・ザ・ムービー』でおなじみのスタジオ、マーザ・アニメーションプラネットによる世界を視野に入れた3DCGアニメ。まさかの「スーパーお菓子大戦」というべきカメオ出演にニヤニヤするなか、『ライオン・キング:ムファサ』の次に、らいおんくんを演じてしまう松田元太の芸達者ぷりなど、老若男女問わず楽しめる拾いモノといえる!
ギンビスの野望に驚く
劇中に実在する商品を登場させて認知を高めるプロダクトプレイスメントの手法は、映画『E.T.』(82)の成功例で今や常識となったが、遂に主役を飾る時代が来るとは。その新たな時代を切り拓いたのが、日本の菓子メーカーの中でも中小企業にあたるギンビスというのが痛快だ。同社は「お菓子を通して世界平和に貢献する」が理念だそうだが、グローバルな視点は本作にも表れている。日本アニメの主流である2Dではなく、3DCGアニメーションで製作。物語の舞台もキャラクターも西洋風と世界標準。「たべっ子水族館」に、遡って「動物四十七士」もあるわけでシリーズ化も可。精鋭製作メンバーの活動も含め、今後の展開に期待しかない。
ハリウッド的王道な流れに日本らしい「かわいいムービー」が合体
ギンビス商品だけでなく、他のお菓子メーカーの人気キャラも登場し、日本が誇る人気スナック総動員ムービーと化していたのに驚き。
全体としては、仲間たちが絆を大切にしながら大きな試練を乗り越えて冒険を繰り広げるという、日本作品ながらハリウッド大作アニメ的ノリで観ていて安心感が強大。一方でハリウッド的なブラック&ヒネリの味付けは微小。なので子供たちが純粋な心で楽しめる仕上がりでは?
実写も含めて過去のどんな映画よりもアピールするのは「色のマジック」。ピンクやイエロー、グリーンの発色が異常レベルの快感を誘ってくる。大量のワタガシが出現するシーンは、映画ならではの昂揚&陶酔の異世界体験と言っていいかも。