SKINAMARINK/スキナマリンク (2022):映画短評
SKINAMARINK/スキナマリンク (2022)
ライター2人の平均評価: 4
ホラーをアートに拡張する 試み
『ブレアウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』に連なる低予算ホラーにして、このジャンルの新たな波を作りそうな注目作。
主人公である幼い兄妹の姿を、映像の中で確認する機会は少ない。代わりに映し出されるのは部屋の隅や天井、床、散らばるレゴブロック、そして深い暗闇。テレビ画面が照明と化す異様さは、ザラついた質感によって不気味へと変換される。音響の演出もみごと。
実家で撮影を行なったという監督は、アート映画からの影響が大きいと語る。固定カメラによる長回しや陰影に富んだビジュアルに納得。ホラーというジャンルの幅を拡張するうえで、今後に影響をあたえる作品となるかもしれない。
悪夢のようなどこかに放り込まれる
ストーリー紹介は読まずに、前知識のない状態で見るのがおすすめ。タイトルが意味のない造語なのも先入観を避けるためだろう。何も知らない状態で見ると、映画の登場人物と同じ状況に放り込まれ、悪夢のようなどこかを彷徨うことになる。
そこはどこかの家の内部らしいが暗く、そこにいるのは誰なのか、他にも誰かがいるのかも分からない。映画を見ながらずっと、ここで何が起きているのかを考え続けるしかなく、次第に時間の感覚が失われていく。
監督は、これまでウェブで短編を発表、本作が初長編となるカナダ出身のカイル・エドワード・ボール。すでに次回作『The Land of Nod』はA24での製作が決定している。