ChaO：映画短評

めくるめく映像美！　抑えきれない（香港）映画愛！　映画マニアでサブカル好きが作った2020年代のハイパーアニメーションといった感じで突っ走る。元ネタを知っていたほうが楽しいが、元ネタを知らなくてもポカーンとしながら観続けることはできるはず。ただ、人間と人魚の純愛を語ろうとするとき、もっと深い話を描いてほしかったという気持ちは、『崖の上のポニョ』から17年経った今だからこそ感じてしまう（そもそも人間と人魚の愛より、家族愛のほうが強い）。大人向けにするなら、大まかな世界のルールを示してくれたほうが見やすくなると思うのだが。あと、人間のチャオより魚のチャオのほうが可愛いと思ったのは自分だけ？

青木康浩監督によるSTUDIO4°C作品で、独特の疾走感や吉本芸人の参加などから、あの『マインド・ゲーム』を想起させながら、まさかのオリジナルで「人魚姫2」をやってしまったチャウ・シンチー、オマージュ大会！　上海を舞台にステファンだけでなく、サブキャラの造形やキーワードやアイテム、テーマ性に至るまで、シンチー愛がダダ漏れ。アンディ・ラウ激似キャラの登場に加え、主人公カップルの名を合わせると、シンチーの英名ステファン・チャウならぬ、ステファン・チャオと、心配するぐらいの確信犯だが、STUDIO4°Cの十八番である凄まじい映像美を畳みかけていることから、ぐうの音も出ない状態となる。