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ブルームーン:映画短評

2026年3月6日公開 100分

ブルームーン
(C) 2025 FUNNY VALENTINE, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

くれい響

ワンシチュエーションで描く“忘れられぬ一夜”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『狼男アメリカン』でもおなじみのスタンダードナンバーなど手掛けた名作詞家・ロレンツ・ハートにとって“忘れられぬ一夜”を、バー店内というワンシチュエーションで描く。180cm近い身長のイーサン・ホークが150㎝程度のハートになりきり、ほぼ独り語りで物語を引っ張り、オスカー候補も納得。1940年代当時のショービジネス界のバックステージものとしても楽しめ、名コンビでもあるリチャード・リンクレイター監督&ホークの新境地開拓! また、中年男の哀愁と自虐など、いろいろとウディ・アレンにも通じるものがあり、晩年のアレン監督作を日本配給してきたロングライドが関わっているところも感慨深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

一緒に仕事をしてきた相手に“置いていかれる”傷みが沁みる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

仕事で一緒に名声を手に入れた相手が、他のパートナーを見つけて、自分との関係を断ち切る…。ブロードウェイなどで活躍した才能ある作詞家という特殊な立場の主人公ながら、非情な現実に、プライドと負い目など複雑な感情で対峙するその姿に、多くの人が自分ごととして同情するのでは?
時代が時代だけに、ゲイとしての自分がどう振る舞うかの迷いを見せながら、懇意にある女性が、男性との関係を口にする時、そこに興奮を隠しきれないなど、さりげない描写が生々しい。
イーサン・ホークとリンクレイターは「ビフォア」シリーズでも試みた「一日のドラマ」を、ここでも効果的に使い、主人公の人生全体を濃縮してエモーショナルに奏でていく。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

イーサン・ホークはオスカーに値する!

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 伝説のコンビ、ロジャース&ハマースタイン誕生の裏にあった、切ない話。すごく才能があるのに、仕事上のパートナーに置き去りにされてしまった夜が舞台。ハートを演じるとにかくイーサン・ホークが凄すぎて、個人的には彼にオスカーをあげたい。
 ひたすらひとりで語り続ける冒頭のシーンは、さすが長時間の舞台劇もこなしてきただけある。ロジャースに対して見せる気まずさと愛着の混じった複雑な思い、またエリザベスに対する純粋さと希望。どの感情にも真実があり、心が打たれ続ける。誰も彼を傷つけたくはないのに傷ついてしまう、人生の持つ悲しい一面。エリザベスがハートに宛てて書いた手紙に想を得たという脚本も最高。

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平沢 薫

一夜の描写で、一人の人間を描き上げる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 1943年3月。作詞家ロレンツ・ハートは、別れた相棒が書いたミュージカル「オクラホマ」初演の成功を祝う夜、酒場で飲み続ける。時間はある一夜のみ、場所はある酒場のみ、ずっと主人公がしゃべり続ける台詞劇。そんな大胆な作劇術なのに、ひとりの人間が抱く想い、屈折、陰影が細やかに映し出されて、最後まで魅了する。それは、主人公が"言葉"を扱う技術を生業とする作詞家だからでもあるだろう。ウィットに富む毒舌を話し続ける彼には、言葉に技巧を凝らすことは快感だが、時折、その端に本心が滲む。

 当時の演劇界の雰囲気も魅力的。実在の音楽関係者が多数登場、演奏され続ける酒場のピアノの選曲にも小ネタが仕込まれている。

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森 直人

ホーク×リンクレイターの深い共鳴と円熟

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

リンクレイター監督がまたひとつ時間の層に灯りをともす。『ビフォア』三部作や『6才のボクが、大人になるまで。』で人生の経過を刻んだ彼が、今作では滅びゆく天才ロレンツ・ハートの一夜を静かな残響として描き出す。

1943年のNY。酒を断ったはずの作詞家がバーで過ぎ去った輝きと対話する。ブロードウェイの熱も名店サーディーズのざわめきも、全ては彼の魂の震えを映す背景だ。主演のイーサン・ホークは皮肉と弱さを抱えた声、小柄に見せた身体で痛みを抱えた男を体現。30年のリンクレイターとの創作の旅路が、この名演に結晶する。若き日のジョージ・ロイ・ヒルが登場する場面なども“時間のいたずら”を深める小粋な仕掛けだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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