年少日記 (2023):映画短評
年少日記 (2023)
重いテーマだがミステリー風の仕掛けが効いている
“超学歴社会”と言われる香港を舞台に、幼い頃から成功者バイアスにとらわれた父親と母親に教育DVを受け続けた兄と弟の姿を描く。“10代の自殺”というテーマは当然ながら重く、10代の少年少女と関わる身としては考えさせられることが多いが、本作は単に重いだけでなく、ミステリー映画のような仕掛けがあり、緻密な展開で観客を惹きつけていく。監督・脚本・編集のニック・チェックはこれが長編デビュー作とは思えないほど、落ち着いた雰囲気で深みのある作品に仕上げてみせた。難しいテーマを過不足なく95分に収めた手腕も見事。「10代の自殺なんて自分とは関係ない」と思わず、多くの人に観てほしい。
この短評にはネタバレを含んでいます