リビング・ラージ！ (2024)：映画短評

　ストップモーション・アニメでミュージカル。主人公のちょっと太めの少年は、唯一の友人とその妹と一緒にバンドを組んでいて、ずっとポップな音楽が彼と一緒にある。家庭にも学校にも彼を悩ませる問題はあり、辛い体験もするが、人物や町はどれも柔らかな質感の愉快な造形で、色彩は徹底的にカラフル、何より主人公がヘコんでもそのままではいないので、世界は明るい。

　すべての人物が、いわゆるカワイイ形ではなく、ちょっと奇妙な形なのは、彼らの内面が現れているから。主人公の過食の原因は一目瞭然だが、本人は子供なのでそんなことは意識しない。問題は解決されなくても、生きていける。そのエネルギーが気持ちいい。