RED ROOMS レッドルームズ (2023):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
なぜ彼女らは連続殺人鬼に惹かれるのか
未成年の少女3名を残虐な方法で殺害し、その様子をネットの闇サイトで有料ライブ配信して捕まった連続殺人鬼。その裁判に足しげく通う女性たちの深層心理に迫る。ご存知の通り、チャールズ・マンソンやジェフリー・ダーマーの昔から、知名度の高い凶悪犯罪者には熱狂的なグルーピーの付くことが多い。彼らはなぜ犯罪者に惹かれ執着するのか。本作では全くタイプの違う女性2人をメインに据えることで、彼女ら自身の抱えた心の闇に迫らんとする。女性たちの生い立ちなどの余計な背景にはほとんど触れず、それぞれを突き動かす本能的な感情にフォーカスする視点は、シンプルだからこそ観客の想像力を掻き立てて説得力がある。
観る者の想像力に訴えかける異質かつ良質なサイコスリラー
これまで山ほど量産されたダークウェブやスナッフフィルムを扱ったサスペンス映画の中でも、かなり異質かつ良質な一本。カナダ映画特有の低温感の下、直接的な性的・暴力的表現はなく、わずかな音声のみで、観る者の想像力に訴えかける怖さ。普段は視線を浴びる側のファッションモデルである主人公がモニターや連続殺人の容疑者に注ぐ視線の不気味さ。単なる好奇心から容疑者に執着する彼女の行き過ぎた正義感がサイコパスと紙一重であることのヤバさ。やや長尺なのは否定できないが、いきなり訪れるラストも含め、余韻がハンパなく、パスカル・プラント監督の名は憶えておいた方がいいかもしれない。




















