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ベ・ラ・ミ 気になるあなた (2024):映画短評

2025年11月15日公開 116分

ベ・ラ・ミ 気になるあなた

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

往時のジャームッシュを想起させる中国発のクイア映画

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 今もなお同性愛が重大なタブーとされ、性的マイノリティが社会や国家からの抑圧を受けている中国。黒竜江省の地方都市を舞台に、人目を忍びながら「同志」を求めて街を彷徨う孤独なゲイの中年男性たち、家族のために子供を作るべく人工授精を試みんとするタフなレズビアン女性たち、それぞれの日常が描かれる。近年、海外の映画祭で高く評価されている中国のインディーズ系映像作家ゲン・ジュンの日本初公開作。モノクロ映像の淡々とした語り口とシュールでオフビートなユーモアは往時のジム・ジャームッシュを彷彿とさせ、時として哲学的な会話の妙はホン・サンス的でもある。人生のほろ苦さの中に暖かな人間味が漂う佳作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

寒い町が、ほのかに暖かい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 柔らかなモノクロ映像、古風なフランス映画風の軽やかな音楽で描き出される、中国北部の寒い小さな町。通りを歩く人はあまりいない。そこでは同性愛が違法だが、中年のイケメンではない同性愛の男たちが、愛を探して歩き回る。彼らは口数が少なく、真面目で、気持ちを伝えることがうまくない。どこかユーモラスな間合い、静かな空気が、カウリスマキっぽいと思って見ていると、登場人物たちの会話にビョークの話が出てきて「北欧とここは緯度が同じだ、感性が近い」などと言われてしまう。

 監督・脚本は"黒竜江省のジャームッシュ"と言われる中国監督ゲン・ジュン。寒さの底に、ほのかに暖かなものが流れている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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