グッドニュース (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
「事実は小説より奇なり」を地でいくブラックコメディー
よど号ハイジャック事件に着想を得たブラックコメディー。右往左往する人々の無責任ぶりが笑えるところだが、機長が受け取った地図が中学生用の地図帳のコピーだったり、金浦空港を平壌国際空港に偽装するKCIAの作戦は史実だったりするので、「事実は小説より奇なり」とはまさにこのこと。民衆を煽動する手口や当時の大統領の独裁ぶりなどは笑えない薄ら怖さがある。コメディーとしてはやや冗長だったが、リッチな絵作りの力と、名優ソル・ギョング、『君の声を聴かせて』でも好演したホン・ギョンの存在が全体を支えている。山本奈衣瑠の赤軍顔が見事。永山瑛太もわずかな出演ながら鮮烈な印象。彼らを主演にした赤軍映画を観てみたい。
コメディとパニックの切り替えで基本楽しく、静かな恐怖も忍ばせ
はっきり言って、このノリが苦手な人もいるはず。赤軍派による航空機ハイジャック→北朝鮮に向かわせる→機内大混乱の設定自体は徹底的シビアに描き、韓国政府や重要な役割を任される管制官の対応、さらに犯人たちの言動に、ちょいちょいドタバタ感、悪ふざけを投入。基本はコメディと受け止めれば笑って楽しめる。
日本の俳優も与えられた役できっちり仕事しつつ、韓国側のメインの2人が、このコメディと骨太シリアスドラマの行き来を、演技の幅で体現。70年代の物語ながら、アメリカも含んだ国家関係への皮肉、情報に躍らされて民意が作られる恐ろしさという「今」も浮き彫りに。
終盤の失速感は否めないもラストはきれいにまとめた感じ。




















