シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼 幸四郎版:映画短評
熟練の野望
17年前の当時の市川染五郎(現松本幸四郎)主演の劇団新感線の同題戯曲を歌舞伎化した3時間を越える超大作。Wキャストの幸四郎版は幸四郎の円熟味を感じさせる一本に仕上がっている。実年齢よりも若い役どころではあるが変な無理がなく、ただ役どころに分厚さだけが増したという感じで、流石の一言、何とも言えない熟練の味を感じさせる”野望を抱く者”の姿を見させてくれた。変則的な再演という形になった幸四郎だが、新たな戯曲、新たな役どころに一から挑むという姿勢を感じさせてくれている。歌舞伎への入り口役を担うシネマ歌舞伎だが、今作は映像大作としても一見の価値がある一本になっている。
この短評にはネタバレを含んでいます





















