シネマ歌舞伎　歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼　松也版：映画短評

Wキャストで原案とも言える舞台のオリキャスの松本幸四郎と相対することになった尾上松也版。開幕1分で幸四郎版とここまで違うか！？と驚かされるほど空気感が違う。松也の若々しさが巧い具合に荒々しさに変換されて、勢いで一気に頂点に昇り詰める野心家の物語になっていた。松也のプレッシャーは相当なものであったと思えるが見事に乗り越えて何段も株を上げたように感じる。幸四郎版ともども3時間を越える大作ではあるもののこれは2本で一本の映像作品と言えるので是非コンプリートを。新感線の音楽に歌舞伎の鳴り物を絡めた音にもぜひ耳を傾けて欲しい。