ミックスモダン (2025):映画短評
“遅れてきた新鋭監督”=藤原稔三が紡ぐ人間群像の瑞々しさ
藤原稔三──まもなく70歳になる新しいシネアストの驚きの登場。彼の“発見”に関しては2025年のベルリン国際映画祭に先を越されたが、遅ればせながらこの才能を大いに祝福したい。ダルデンヌ兄弟の精緻なリアリズムとケン・ローチの温かな連帯の精神を受け継ぎつつ、保護司として若者を支えるヒロさんを中心に様々な人生の断片が静かに重なり合う。
元受刑者の更生、揺れる恋、不妊、孤独な老人の微笑み。尖らず煽らず、中庸へと向かう世界の網目模様に宿るのは、かつて俳優として藤原が演じた『あの夏、いちばん静かな海。』のサーフショップ店長の姿と重なる寄り添い方だ。世界の綻びを縫い直すように、光をそっと灯す真摯な傑作。
この短評にはネタバレを含んでいます




















