蒸発 (2024):映画短評
現実社会のグレーゾーンをいかに映像として採取・公表するか
今村昌平『人間蒸発』から河瀨直美『たしかにあった幻』まで、数々の映画でもモチーフとして扱われてきた日本社会の失踪者問題――「蒸発者」の実態に迫る野心作。カメラは実際の蒸発者たち、そして失踪のサポートをする夜逃げ屋の女性の姿などを捉え、生々しい言葉を引き出す。
驚くべきことに本作ではボカシ処理だけでなく、蒸発当事者の顔が映る。だがそれは生成AIのディープフェイク技術で置き換えられた別の顔(と声)だというのだ。つまり限りなく真実に肉迫したドキュメンタリーでありつつ、“ぎりぎりフィクション”の域に昇華しているとも言える。際どい手法だが、「映せないもの」の壁を突破する新しい試みとして興味深く思った。
この短評にはネタバレを含んでいます





















