今日からぼくが村の映画館 (2022):映画短評
ライター2人の平均評価: 4.5
アンデス版『ニュー・シネマ・パラダイス』はほろ苦い
通称”アンデス版『ニュー・シネマ・パラダイス』”。その惹句に間違いはないのだが、本作はむしろ感動よりも、ほろ苦さが後を引く。主人公は先住民。貧しさゆえ、教育より家業を優先させる児童就労問題。伝統を守りたいがゆえ、子どもに外の世界を知らしめる映画を脅威とみなす。物語の設定は’70年代と一昔前だが、彼らが抱えている問題は今も変わらないのではないか? 自然と共存し、ケチュア語で語られる詩的なセリフが美しいだけに、一層、文明の功罪を考えずにはいられない。その中で主人公の少年は映画で世界の扉を開け、自分の足元を見つめ直す。ラストに監督が用意した映画ならではの夢があまりに切なく、また後を引くのだ。
映画を初めて観たときの興奮の記憶が甦る!
スマホもPCもない時代の、テレビやラジオもないアンデスの村に映画を放り込み、その興奮を寓話のようにとらえる。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿させる、映画に初めてふれた少年の喜び。村に戻った彼はそれを言葉や身振り手振りで人々に伝えるが、観たものを人に語らせようとすることに、映画が持つ根源的な力を感じた。
アンデスの大自然そのものも映像として語られるべき凄味あり。スペイン語圏とケチュア語圏、村落と町の格差などペルーの問題も見えてくるが、そこに説得力が宿るのは少年の映画愛がリアルに描かれているからこそ。観た映画の面白さを家族や友人に必死に伝えようとしていた子どもの頃を思い出した。



















