死ねばいいのに (2026):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
伊東蒼の深淵に飲み込まれていく
物語を引っ張っていくのは、殺害された女について聞いて回る女・映子を演じた奈緒なのだが、なんといってもその殺害された不幸な女・亜佐美を演じた伊東蒼がすごい。どう見ても不幸なのに、不幸であるとは言わず、むしろ自分は幸せだと思っている。本当はろくでもない人たちに囲まれているし、そもそも社会がおかしい。だけど、この人自身が不幸を誘発しているように見えてしまう。そんな女性を演じている亜佐美……というか伊東蒼が表現する深淵に、映子と一緒に飲み込まれていくような感覚を覚える。京極夏彦の400ページ近い原作を、95分という短さにまとめた監督と脚本の手腕は見事の一言。
これは巧い映像化
面白いことはまず間違いないものの、その文章のボリュームと情報量の多さで、特に映画という枠ではなかなかとり上げにくい京極夏彦作品。そんな中で、この一冊を選んできたというのは意外でありながらも正解だったのかもしれない。何ヵ所か映画独自のアレンジが入っているものの、原作を読んだ時の感覚と同じものを残しているのはお見事の一言。しかも削ぎ落せる部分は全部削ぎ落して95分というタイトな作りにしたのもこういったサスペンス映画としての緊張感を保たせるためには効果抜群。そして何と言っても主演の奈緒。基本的には聞き手に回っているのですが、真意を隠しつつの演技は絶妙でした。






















