プーチンの愛国教室 (2025):映画短評
ライター3人の平均評価: 5
決して他人事にしてはいけないロシアの恐るべき愛国教育
ウクライナ侵攻後にロシアで始まったという愛国教育の実態とロシア社会の移り変わりを、田舎町の学校教師が2年かけてビデオに収めた渾身のドキュメンタリー。国民が国を愛するのは義務であり、国を愛するならばその政策に従うのは当然。国の方針に疑問を抱く者は非国民、異議を唱える者は外国のスパイ。挙国一致のため異論は排除せよ。そんな指導要綱に半ば呆れていたまともな教師たちも、しかしロシア版・鮫島伝次郎みたいな愛国者が幅を利かすようになると口をつぐみ、気が付けば学校の外でも反戦や政府批判が憚られるようになる。まるで大日本帝国みたいだが、現代日本でも十分に起こりうる。これを他人事と思ってはいけない。
とてつもない勇気と正義感に敬服!
ロシアのウクライナ侵攻をウクライナ側から描く傑作はあっても、ロシア側から、しかも普通の人たちの日常を、これほど生々しく語ったものはない。学校という最も影響力を与える場で起きていることを、撮影担当教員であるタランキンは、危険をおかして映像にとらえた。それは非常に恐ろしく、悲しく、やるせなく、同時にばからしすぎて笑えたりもする。とても大胆で勇気のあることをやっているタランキンを「ロシアのマイケル・ムーア」と呼ぶ人もいるが、それ以上だ。ほかでは知り得なかったことを見せる貴重な映画。さらに心を揺さぶり、世界の歴史や現在自分が住む国についても考えさせる。オスカー受賞も断然納得の大傑作。
この教師のような人物こそ、世界への小さな希望に
タイトルどおり、子供たちが“洗脳”される現場が描かれ、人を戦争に加担させる単純な仕組みに背筋が凍る。ゆえにセンセーショナルでシビア、辛辣なムードが充満しつつ、観ていてどこかポップで軽やかなノリも感じるのは、中心にいる教師パヴェルのキャラのおかげ。生徒の思いに親身に対応し、そこかしこにゲイっぽさを漂わせ(それをロシアで明かすのは不可能)、反体制もしなやかに体現する魅力にクギづけに。それだけにロシアのウクライナ侵攻後、生徒たちとの溝が深くなるプロセスが、ことのほか切ない。
撮影した愛国教育の現場の映像を、密かに国外へ送るサスペンス感も含め、エンタメ的な観やすさで社会の真実を突きつける最高の見本。
























