ディスクロージャー・デイ (2026):映画短評
ライター6人の平均評価: 3.7
スピルバーグによるもうひとつの『未知との遭遇』
一連のUFO陰謀論は本当だった!アメリカ政府は地球外生命体との接触に成功し、エイリアンたちを捕らえて非人道的な生体実験を行っていた!米政府が長年に渡ってひた隠しにしてきたその不都合な真実を暴露せんとする人々と、それを阻止しようとする政府関連組織の熾烈な攻防が描かれる。いわば、スピルバーグ監督によるもうひとつの『未知との遭遇』。良くも悪くも巨匠らしからぬプログラムピクチャー的なSFスリラーで、そこは賛否が分かれる点かもしれない。個人的には全然あり!『激突!』や『ジョーズ』の頃の若々しさすら感じさせてくれるのが嬉しい。核戦争の危機を背景にした設定には、昨今の世界情勢に対する批判も読み取れよう。
なんだかんだで「極秘ファイル」の再現にすべて持っていかれる
スピルバーグが自作の『未知との遭遇』へのアンサーをまぶし、友好的エイリアンの地球での真実をセンセーショナルな映像で“開示”。そこが最もテンション上がるパート。
ただメインに割かれるのは逃走アクションや、陰謀を隠す政府組織との攻防で、そこもまぁスピルバーグなので観せ切ってはいるも既視感が上回る。
E・ブラントが突然ロシア語ペラペラになるなど、笑っていいのか迷うシーンのほか、各所ツッコミどころも多いが、それらの真意を“思索”したくなるのも巨匠作品ならでは?
現代を背景にしつつ、重要な舞台がローカルTV局だったりノスタルジー満点で、1980~90年代の映画を観ている感覚に陥り、それはそれで悪くない。
スピルバーグの「何だコレ!?ミステリー」
まもなく80歳となるスピルバーグ監督が家族を軸に描いた自伝的作品『フェイブルマンズ』に続く、これぞ「終活映画第2弾」。『激突!』のサスペンス描写でヒッチコックの後継者として現れ、『未知との遭遇』『E.T.』でそれまで人類の敵だった地球外生命体の概念を変えたハリウッドの巨匠のキャリア集大成といえる展開に、ひたすら胸躍る。しっかり説明されない「何だコレ!?ミステリー」にはケレン味を感じるのに、『続・激突!/カージャック』ばりのロードムービーの先に明らかになる「情報開示」には崇高さすら感じ、むちゃくちゃ感慨深い。その一方で、エミリー・ブラントの芸達者ぷりも堪能できます。
ここへ来て、こんな映画を!?
プロデュース作品を見れば色々ありますが、監督作品だけ見るとすっかり落ち着いた巨匠になった感があったスピルバーグがここへ来てこんな娯楽に振り切ったものを作ってくるとは、うれしい驚きを感じています。これはスピルバーグ流の”裏戦後史”と言っていいと思います。ケレンとハッタリに満ちたサスペンスアクションであり、久しぶりのSF陰謀モノ大作となっていました。映画で目に行くのはやはりエミリー・ブラントですね。色々やってくれる方ですが、今回もまぁ色々な顔を見せてくれます。肩の力を抜いて気楽に楽しめました。
いろんな要素が投げ込まれるが深いところでつながらず
野心もセットも壮大、ベテランらしく技術面での仕上がりも立派。しかし、タイトルやポスタービジュアルから期待する、優れたSFにはほど遠い。冒頭から謎めいたことが起こり、宗教の要素やらテレパシーやらいろんなものが投げ入れられるのだが、結果的にそれらがうまくつながらないのだ。というか、作り手が意図したような深いところに落とし込めていない。走る電車で起きるシーンなど、アクションシーンは一流レベルながら、ハリウッドの超大作では見たことがある。それに、その部分もストーリーに絶対必要かというと疑問。こんなに欲張らないで、タイトルに最も直結する最後の45分の話にフォーカスすればよかったのでは。
スピルバーグがアメリカの神話を描き直す
これまで何度も映画やドラマで描かれてきた「すでにUFOも宇宙人も地球に来ていて、政府はそれを隠している」「宇宙人は地球人を誘拐して実験している」というアメリカの神話を、スピルバーグがなぜ今、描きたいのか考えさせられる。神話の大筋は共通だが細部に違いがあり、そこにスピルバーグのこだわりがあるのか。映画のタイトルが示すように、真実がどのように開示されていくのか、その過程が彼の描きたかったものなのか。
その物語とは別に、自動車と列車のチェイスシーンになると、俄然、スクリーン上のすべてのものが活き活きと躍動感を増す。今も変わらぬスピルバーグ監督の本骨頂を痛感させ、もっとこの監督の新作が見たくなる。



























