霧のごとく (2025):映画短評
歴史を現在に繋げて希望を描く
1950年代の台湾、ひとりで知らない土地に向かう少女と、彼女を詐欺師から救う人力車の車夫の青年。ノスタルジックな色調で描かれる、時にはユーモラスな心温まる物語でありつつ、実は、1949年の戒厳令以降、何千人もの被害者を出した政治的弾圧、白色テロの犠牲者とその家族の物語でもある。
チェン・ユーシュン監督は、映画の根底に、歴史の暗部とそこで倒れた人々の志を忘れてはならないという強い意志をみなぎらせながら、しかし、物語を悲痛なものにはしない。批判するだけではなく、生きる人々の活力も描き、現代に繋げて希望を抱く。その姿勢が胸を打つ。主人公の兄が書いた、雲と霧が出てくる童話のような文章が心に残る。
この短評にはネタバレを含んでいます





















