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手描きアニメにこだわるスタジオジブリ宮崎駿監督に素朴な疑問!「なぜいつもエプロンを着けているの?」

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三好紀彦氏
三好紀彦氏

 18日、御茶ノ水のデジタルハリウッド東京本校で、映画『借りぐらしのアリエッティ』CGメイキングセミナーが行われ、現在はスタジオジブリでCG制作に携わる同校卒業生の三好紀彦氏がジブリアニメ制作の秘密を披露した。

映画『借りぐらしのアリエッティ』ギャラリー写真

 スタジオジブリといえば、手描きアニメに対して職人的なこだわりを見せたり、映画『風の谷のナウシカ』などの過去の作品のブルーレイ化においても、HDリマスターなどの高画質化をあえて拒否し、当時の画質を再現した状態で収録・販売したりと、最新のテクノロジーに関してはどこか保守的な印象がある。そんなスタジオジブリと最新のテクノロジーとの親和性とはいったいどのようなものなのか、会場に集まった三好氏の話に参加者は興味深そうに耳を傾けていた。

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 講演では、排水溝の水面にゆらめく光のシーンや、アリエッティがロープでのぼるシーンなどの例を挙げながら、CG制作の裏側を解説。そもそもスタジオジブリがCGを使う際のスタンスとして「使用目的を明確にする」「手描きではできない表現を目指す」「作品の世界観を守る」「方式ではなく道具として使う」という4点を挙げた。これはつまり、これみよがしなCGは良しとはせずに、手描きで表現できない部分を補うために使用するということなのだと三好氏は説明する。

 結果的にジブリでは描かれているものがすべてで、描いてある以上のものは求められない。いわば「これがCGなの!?」といわれるような使い方が理想的なのだそうだ。そして「作画の人が鉛筆を、美術の人が絵筆を持つように、われわれはアプリケーションは使うけれども、自動計算に頼り過ぎないようにしています。自分で結果を想像しながら使わないと、誰でも作れるような絵しか作れなくなる」と自らを戒めるように語る三好氏は、「ぼくはクリエイターではなく、あくまで職人ですから」と言い切った。

 そして参加者から「なぜジブリは手描きにこだわるのか」と問いかけられた職人・三好氏は、「ジブリのスタンスとして、アニメというものは手描きからスタートしたからということがあるんです」と返答。そこからなぜか、「ドキュメンタリー番組などに登場する宮崎駿監督は、なぜいつもエプロンを着けているんですか?」という質問が出て、会場内は笑いに包まれた。そんな素朴な疑問に三好氏は、「確かに絵の具を使うために絵筆をよく持っていますから、エプロンをいつもしています」と前置きをした上で、「直接聞いたわけではないんですけれど、宮崎監督なりの戦闘服なんじゃないですかね」と解説。そのいかにも職人らしい見解に、妙に納得してしまった様子の会場内だった。

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 対して、映画『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌監督について「正直、テレビで観たときは米林監督にリーダーシップを感じなかったが、出来上がった作品はしっかりしていた」と回答。また「米林監督とはどういう人なのか?」とその力量についてストレートな質問が飛び出すと、「確かにテレビなどで頼りない印象を持つ人が多いようですが、それは見た目だけの問題であって、頭の中の世界観を誰よりも強く持っている監督です。(本作が評価されているのは)表現するための努力を惜しまなかった結果でしょうね」と絶賛していた。

 CD屋の店員、すし職人、日雇い労働など、いろいろな職を体験しつつも、28歳のときにCGを学ぼうと一念発起し、デジタルハリウッド大学に入学。やがて30歳でスタジオジブリに入社するという変わった経歴の持ち主である三好氏。ユニークな人材を多く輩出するスタジオジブリならではの興味深い講演内容に、参加者は満足そうだった。

映画『借りぐらしのアリエッティ』は全国東宝系にて公開中

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