厳しい競争率を一発でクリア!諏訪敦彦監督のフランスでの人気と実績

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通訳を介してレオやスタッフとコミュニケーションをとる諏訪監督。現場の雰囲気の良さが伝わります! - (C) 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BALTHAZAR-BITTERS END

 諏訪敦彦監督が、ヌーヴェルバーグを代表する映画『大人は判ってくれない』などで知られるジャン=ピエール・レオとタッグを組んだ映画『ライオンは今夜死ぬ』が1月20日の日本公開に先駆け、1月3日にフランスで公開された。フランス政府の助成を得て製作された同作、その経緯について、フランス在住の吉武美知子プロデューサーが語った。

【動画】『ライオンは今夜死ぬ』予告編

 企画の始まりは、2012年のラ・ロッシュ=シュル=ヨン映画祭(フランス)で諏訪監督とレオが共に招待されたことだった。諏訪監督の特集上映があると知ったレオから、事前に関係者を通して「諏訪監督の旧作を鑑賞したい」と吉武さんに連絡があったという。吉武さんは「レオは本当に映画が大好きで真面目な人。映画祭で会うかもしれないし、自分の知らない、新しい才能に興味があったようです」と当時を振り返る。

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言葉の壁を超えて、信頼し合っている様子がうかがえるレオと諏訪監督 - (C) 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BALTHAZAR-BITTERS END

 映画祭で顔を合わせた2人は意気投合し、「一緒に映画を作ろう」と盛り上がったが、問題は製作体制だった。諏訪監督の映画作りは大筋こそあれど、現場での俳優たちの感情を尊重した即興芝居も取り入れていく。そのため企画書やシナリオからは完成がイメージできず、これまでの作品もなかなか日本での出資は難しかったという。

 そこで吉武さんが利用したのが、フランス国立映画センター(CNC)の製作費前貸制度avance-sur-recettes(アヴァンス・シュール・ルセット)だ。各作品の製作費により助成額は異なるのだが、「厳密にいうと助成ではなく、あくまで前貸し制度。でも大ヒットしない限り、返済義務は発生しないという非常にありがたい制度です」と語る。

 深田晃司監督の『淵に立つ』(2016年)のように、日本・フランス合作映画は同じCNCの外国映画を対象とした助成制度「シネマ・ドゥ・モンド」を活用する場合が多い。一方、 アヴァンス・シュール・ルセットはフランス語言語のフランス映画が対象で、若手から巨匠の作品まであらゆるフランス映画が申請をする為、審査を通るには相当な競争率をくぐり抜けなければならないという。

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映画ワークショップに参加した子供たちの中から撮影に参加した子も - (C) 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BALTHAZAR-BITTERS END

 審査基準として重要視されるのはスタッフの国籍で、フランス人やヨーロッパ圏以外の人が関わる人数分だけ減点対象になるという。本作の場合、監督が日本人というだけで不利になるワケだが、そこでプラスに働くのが監督のフランスでの実績と信頼度だったようだ。諏訪監督は『不完全なふたり』(2005年)、『ユキとニナ』(2009年)などと、これまでもフランス人スタッフとキャストを起用した作品を発表している。

『ユキとニナ』でユキを演じたノエ・サンピが8年ぶりのスクリーンに!現在は大学生なのだとか - (C) 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BALTHAZAR-BITTERS END

 「やはり諏訪さんは、カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した『M / OTHER』(1999年)の評価が高く、フランスでもファンが非常に多い。『H Story』(2001年)で名カメラマンのカロリーヌ・シャンプティエが参加し、主演にベアトリス・ダルまで引っ張ってきた。今回も諏訪さんの企画ならばと審査に通ったようです。申請を出して、一発で審査に通るのは非常に珍しい」と吉武さんはいう。

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 本作には他にも、撮影地のグラースがあるアルプ=マリティーム県と、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域からの助成金も投入されている。

フランスを代表するベテラン女優イザベル・ヴェンカルテンも参加 - (C) 2017-FILM-IN-EVOLUTION-LES PRODUCTIONS BALTHAZAR-BITTERS END

 近年フランス映画界では、黒沢清監督が『ダゲレオタイプの女』(2016年)を、河瀬直美監督がジュリエット・ビノシュ永瀬正敏のW主演で『Vision』(2018年公開)を制作中と、日本人監督の進出が注目されている。いずれの監督も作家性が強く、すでにフランスでの知名度が高いというのが共通している。そこには多様な文化と豊かな才能を育み、受け入れてきたこの国の歴史が根底にあることを忘れてはならないだろう。(取材・文:中山治美)

映画『ライオンは今夜死ぬ』は1月20日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

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