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白石和彌監督『パラサイト』快挙に言及 キネ旬受賞スピーチで決意新たに

第93回キネマ旬報ベスト・テン監督賞を獲得した白石和彌
第93回キネマ旬報ベスト・テン監督賞を獲得した白石和彌

 映画雑誌「キネマ旬報」が発表する映画賞「第93回キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画監督賞を獲得した白石和彌が11日、文京シビックホールで行われた表彰式に出席。ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞でアジア単独映画として初の作品賞を獲得したことに触れ、日本映画発展のための決意を宣言した。

【写真】表彰式の様子

 2019年は『ひとよ』『凪待ち』『麻雀放浪記2020』という3本の映画が公開されたほか、テレビドラマ「フルーツ宅配便」も手がけるなど、多作が際立った白石監督。重さ約5キロのトロフィーを受け取ると、「重たいですね」と笑顔に。「キネマ旬報の賞は縁遠いなとずっと思っていたのですが、こうやって賞をいただいてうれしいです。いつも言っていることですが、関わっているキャストとスタッフと、一緒に歩み続けてくれたプロデューサーに感謝しています」と受賞の喜びを語った。

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 前日の10日は、WOWOWで放送された第92回アカデミー賞授賞式の生中継番組にゲスト出演していた白石監督。『パラサイト 半地下の家族』の快挙に「歴史が変わる瞬間だ」と感じたというが、同時に悔しさもあったという。「昨日つらつらとツイッターを見ていたら、『日本映画は韓国映画に比べて駄目だ』というようなことが書かれていたので。責任を感じつつですが、やれることをやって、必ずやいつか満足のいく映画を届けられるように頑張っていきたいと思います」と改めて決意を語った。

 この日は、『火口のふたり』で日本映画ベスト・テン第1位を獲得した荒井晴彦監督も来場。荒井はスピーチで「映画は1位なのに、演出も脚本も良くないと思われたのか、監督賞も脚本賞ももらえませんでした。演出は(監督賞の)白石和彌、脚本は(脚本賞の)阪本順治に教わって、またこの場に帰ってきたいと思います」と自虐めいた発言をしていたが、それを受けた白石監督は自身のスピーチの際に「荒井さんと飲むといつも、『おまえの映画は全然駄目』だとか。去年『止められるか、俺たちを』という映画は、荒井編集長が務める雑誌『映画芸術』でワースト1位に。そして今年は『麻雀放浪記2020』がワースト3位だったので、特に演出を教えることがありません」と返し、会場を沸かせた。(取材・文:壬生智裕)

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