ADVERTISEMENT

青木柚、劇場パンフの自分の言葉に「恥ずかしい!」 新鋭・甫木元空監督とタッグで未知の感覚

青木柚
青木柚

 NHKドラマ「きれいのくに」や映画『うみべの女の子』などで注目を浴びる俳優の青木柚が26日、渋谷シネクイントで行われた主演映画『はだかのゆめ』公開記念舞台あいさつに来場し、本作で体験した不思議な気持ちについて語った。この日は共演の唯野未歩子甫木元空(ほきもと・そら)監督、甫木元と2人組バンドBialystocksを組む菊池剛も登壇した。

【動画】『はだかのゆめ』甫木元空監督に生インタビュー

 本作は、『EUREKA ユリイカ』のプロデューサー・仙頭武則青山真治監督によってプロデュースされた『はるねこ』(2016)で長編映画デビューした甫木元空の監督第2作。若くして両親を亡くし高知県で祖父と暮らす自身を投影し、四万十川のほとりに暮らす親子3代にわたる物語を紡いだ。青木が演じているのは、余命わずかな母(唯野未歩子)を見守る少年ノロ。「お盆が終わった後に遅れてやってくる幽霊」という設定だ。

ADVERTISEMENT

 本作の劇場パンフレットには、甫木元監督が手がけた撮影前のシナリオが掲載されているが、できあがった作品はそれとはだいぶ違うものになったという。撮影前のシナリオをあらためて読んだという青木は、「今までいろんな作品をやらせていただくなかでいろんな台本を読んできたんですが、(今回のシナリオには)甫木元さんの脳内の感覚や言葉とかが載っていて。めちゃくちゃ魅力的に感じました。でも演じる側の視点で見ると、どうやってやればいいのかわからないなというのが第一印象でした」と切り出すと、「本の中から景色や色など、そういう感覚的なものが全部染み込んでるようなホンだったので、これは(舞台となる)高知県の四万十市に行かないとわからないぞというのがありました」と当時を思い返した。

左から甫木元空監督、青木柚、唯野未歩子、菊池剛

 甫木元監督も「最初に生と死というテーマがあって。通常なら通してくれないような企画を、僕と菊池がやっているBialystocksというバンドのMVの予算をかき集めて、映画を撮らせてほしいと提示したら、その企画が通った」と企画成立の経緯を説明。「5年くらいずっと書いていた脚本ですが、自分の中では5年間に起きたことや、高知県に住みながら考えたことなど、全部詰め込んだものなので。風景を共有しないとわからない脚本だろうなと思っていました」と続けた。

ADVERTISEMENT

 この日は、パンフレットに掲載された登壇者たちのインタビューのコメントを、あらためて登壇者たちにぶつけ、その裏側に迫るというスタイルで進行。青木は「正解でも不正解でもない間をずっと漂うみたいな関係性があった」「組み立てるという考えを放棄して演じた」「ピアノの鍵盤の黒鍵だけの領域に入った」といった、本作に取り組むにあたってインタビュー時に語った言葉を音読されると「恥ずかしい! インタビューは文章だからいいですけど、そうやって言葉で言われると恥ずかしいです」と照れることしきりで、その様子に場内も大いに沸いた。

 甫木元監督の言葉通り、実際に高知県という土地に触れて感じることも多かったという青木。「高知に着いて、車で監督のご自宅に行って。(監督の亡くなったお母様に)お線香をあげたときに不思議な気持ちになった。もちろん行った初日ですべてが分かったわけではないですし、今の段階でも100%わかったわけではないですけど、それでもお線香をあげたときに感じることがあったんです」と振り返る。

 そんな不思議な映画体験だったという青木だが、完成した映画を初めて観た時には「シンプルに大好きな映画だなと思った」そう。「普段は自分が出演する映画というのは初見ではフラットに観られないことが多いんですけど、この作品は、生きている人なのか、死んでいる人なのか、どっちなのかわからない。人との距離感が不思議で。だからいろんな人が思いを重ね合わせられるくらいの余白がある感覚だった。すごく心地がいい映画だなと思っていました」と映画の魅力に触れた。

ADVERTISEMENT

 一方の唯野も「わたしもシナリオと違うのでビックリしました。(漫画の)『ガラスの仮面』じゃないですが、『恐ろしい子……』という感じに思いました」と切り出すと、今年3月に亡くなった青山真治監督の存在を挙げた。「青山真治さんの教え子である若いスタッフの方々。甫木元さんが監督で、米倉(伸)さんが撮影で。しかも(青山監督と多くの作品でタッグを組んだ音響の)菊池(信之)さんという名匠が音をつけていて。ビックリしました」

 そしてあらためて「人が人を一心に思うこと、土地と時間、流れる時間の結びつき、純度の高いものが映画に流れてて。自分自身、人の温度を感じる映画にこれからもずっと関わっていきたいなと思いますし、『はだかのゆめ』は自分でも大切な作品になったので、これから観ていただけること、うれしく思います」と誇らしげに語った。(取材・文:壬生智裕)

映画『はだかのゆめ』は公開中

『はだかのゆめ』甫木元空監督に生インタビュー|シネマトゥデイ・ライブ » 動画の詳細
  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT