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豊田徹也の漫画「アンダーカレント」映画化 監督は『窓辺にて』の今泉力哉

原作表紙と今泉力哉監督
原作表紙と今泉力哉監督 - (C)豊田徹也/講談社(C)2023「アンダーカレント」製作委員会

 豊田徹也の漫画「アンダーカレント」が発売から18年を経て、映画『愛がなんだ』『窓辺にて』などの今泉力哉監督によって映画化されることが明らかになった。家業の銭湯を営む女性、失踪したその夫、銭湯で住み込みで働き始める謎の男、3人の心の深層(アンダーカレント)が、ある事件をきっかけに浮かび上がっていくストーリーで、脚本を『愛がなんだ』で組んだ澤井香織と今泉監督が共同で手掛ける。2023年秋公開予定。

【動画】今泉監督が安田弘之の漫画を映画化する『ちひろさん』

 原作は、2004年8月より1年にわたって青年漫画誌「月刊アフタヌーン」で連載され、2005年10月に単行本が出版された豊田徹也の同名長編漫画。主人公は、家業を継ぎ夫の悟と銭湯を切り盛りし順風満帆な日々を送るかなえ。しかし突然、悟が失踪。途方に暮れるかなえだったが、一時休業していた銭湯の営業を再開させる。そこに「働きたい」という謎の男・堀が現れ、ある手違いをきっかけに住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。かなえは、友人から紹介された胡散臭い探偵・山崎とともに悟を探しながら穏やかな日常を取り戻しつつあったが、ある事件をきっかけに堀、悟、そしてかなえが閉ざしていた心の深層が徐々に浮かび上がってくる。

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 原作は、フランスを中心に海外でも人気を博した作品。2009年パリで開催されたジャパンエキスポにおいて、フランスの批評家と記者が選出する「第3回ACBDアジア賞」を受賞し、2010年には「漫画界のカンヌ映画祭」と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出。2020年にフランスメディアで発表された「2000年以降の絶対に読むべき漫画100選」では3位に選ばれた。

 監督の今泉力哉は、角田光代の恋愛小説を映画化した『愛がなんだ』(2019)で社会現象を巻き起こし、その後も『あの頃。』『街の上で』(共に2021)、『猫は逃げた』(2022)などコンスタントに作品を発表。稲垣吾郎を主演に迎えた『窓辺にて』では第35回東京国際映画祭にて観客賞を受賞し、来月には有村架純主演のNetflix映画『ちひろさん』の公開・配信を控える。

 今泉監督のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)

今泉力哉監督コメント

 この世界にはそれが存在することで誰かが救われるという作品があって、そして、そういうものを生み出す人がいて、豊田徹也さんの「アンダーカレント」はそういう漫画で、豊田さんはそういう人だ。映画化にあたり、豊田さんと何度もふたりきりで会っていろんな話をした。はじめて会った日に4時間お茶をしたのだが、まだまだ話し足りなかった。帰り際、原田芳雄さんのエッセイ『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』をいただいた。豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った。コロナ禍でお茶をしたある日、会計時に自分の分のコーヒー代を、きっとこういうご時世だからだろう、衛生面からラップにくるんでご用意してくださっていて。この繊細さをきちんと映画にしたいと思った。私はキリスト教徒なのだが、熱心な信者ではなくて、それでもたまに教会に行くと心が澄む感覚になるのだが、自分にとっての豊田さんはそういう人で、会うと心が澄む。とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます。かなえや堀も、今もどこかで元気でいてくれたら。

有村架純、元風俗嬢役に!『ちひろさん』予告編 » 動画の詳細
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