『孤狼の血』3弾に役所広司カムバックの可能性 役所「そんなことがあったらびっくり」、白石監督「戻ってきてもらいたい思いがある」

俳優の役所広司が18日、丸の内TOEIで行われた「さよなら丸の内TOEI」プロジェクト『孤狼の血』上映後舞台あいさつに、白石和彌監督と共に出席。役所は、白石監督がシリーズ第3弾で役所出演のアイデアも考えているという話に「そんなことがあったらびっくりですよ」と驚きの表情を見せていた。
2018年5月に公開された映画『孤狼の血』は、柚月裕子の同名小説が原作。暴力団対策法施行以前の広島県を舞台に、激しい抗争を起こす暴力団と、彼らを追う刑事たちのバトルを活写する。2021年にはオリジナルストーリーの続編『孤狼の血 LEVEL2』が公開された。
『孤狼の血』で刑事二課主任で暴力団と渡り合うベテランの大上章吾にふんした役所。本作のオファーを受けた際は「東映のお家芸であるアウトロー映画。近年はとても少なくなってきたので、躊躇はなかったです」と即答に近い形で快諾したことを明かすと「白石監督から『元気のある日本映画を作りたい』と言われていたので、自分もその思いで監督についていきました」と語った。
気合い十分で臨んだ役所。役へのアプローチは衣装が手掛かりになったとも。「衣装合わせのとき、白石監督が選ぶ衣装がサングラスにネックレスと、絵にかいたような(ヤクザの)衣装だったんです。もうその衣装で(ロケ地であった広島県)呉の街を歩くと、自然と作品の雰囲気になっていました」と撮影を振り返っていた。
2021年9月17日にシリーズ第3弾の製作が発表されていたが、白石監督は「現状そんなには進んでいないんです」と状況を語ると、役所の方を向き、「一応、東映映画では、一度死んだ方も続編で戻ってくるというお家芸があるので、役所さんにも戻ってきてもらいたいという思いがあるんです」とラブコール。
役所演じる大上はシリーズ第1作ですでに死亡してしまっているため、役所は「そんなことがあったらびっくりですよ」と驚きを見せるが、白石監督は「蘇ることがありますからね」と、東映の『仁義なき戦い』シリーズで、過去に松方弘樹や梅宮辰夫らが違う役で作品に出演していることを例に挙げていた。
最後に役所は「あと70日で閉館ですか。さみしいですね」と丸の内TOEIに思いを馳せると「僕が初めてこの地に立ったのは『オーロラの下で』(1990)という日ソ合作映画だったと思います。僕の青春が詰まった映画館。街の映画館がなくなって、シネコンばかりになるのは寂しいですね。でも東映らしい映画を作って、こうした舞台あいさつができたこと、とても幸せでした」としみじみ語っていた。
「さよなら丸の内TOEI」プロジェクトは、7月27日に約65年の歴史に幕を閉じる丸の内TOEIを惜しみ、劇場へかかわる全ての人への感謝と、「映画館で映画を観る」ことの大切さを改めて訴求することを目的に、5月9日から7月27日までの80日間にわたって数々の傑作特集上映に加え、各種イベントを実施。その一環としてこの日は、2018年に公開された映画『孤狼の血』が上映された。(磯部正和)