第38回東京国際映画祭、黒澤明賞を李相日監督&クロエ・ジャオ監督が受賞

第38回東京国際映画祭(10月27日~11月5日)の黒澤明賞の受賞者が、『国宝』などの李相日(リ・サンイル)監督と『ノマドランド』で知られるクロエ・ジャオ監督に決定した。授賞式は11月3日に帝国ホテルで行われる。
世界の映画界に貢献した映画人、映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる黒澤明賞はこれまで、スティーヴン・スピルバーグ、山田洋次、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)といった著名監督が受賞してきた。今年は、山田監督、奈良橋陽子、川本三郎、市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)の4名により選考が行われた。
李監督は、社会の矛盾や人間の罪をテーマにした重厚な作品で知られている。代表作には『フラガール』『悪人』『怒り』『流浪の月』などがあり、これまで数多くの賞を受賞してきた。また、2025年の最新作『国宝』は、カンヌ監督週間で世界初上映され公開前から話題となり、日本でも興行収入100億円を超える大ヒットを記録。この作品の商業的な成功と、日本映画界を牽引する功績が評価されての受賞となった。
クロエ監督は、北京出身の脚本家、映画監督、編集者、プロデューサー。3作目の長編映画『ノマドランド』は、2020年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したほか、アカデミー賞では監督賞、主演女優賞、作品賞の3部門を受賞した。通常のハリウッド映画とは一線を画した詩的かつリアリスティックな作品性と、『ノマドランド』の成功によりアジア系女性監督たちに大きな勇気を与えた功績が評価され、今年の受賞者に選ばれた。(加賀美光希)


